『「線」と「丸」を引くだけで、英語は一気に読めるようになる』(松延正一著)は、河合塾で約30年間、累計10万人に教えてきた人気英語講師である著者が、自身のメソッドを一般の読者向けに初めて解説した1冊です。
どんなに長い英文も“メインとなるパーツ”と“サポートするパーツ”から成り立っていて、この原理を理解すれば文法や構文を覚えなくても英文が読めるようになる、というのが著者の考え方です。ここでは、著者のメソッドもう少しだけくわしく紹介した「はじめに」を公開します。
ネイティブは英文をどう読んでいる?
この本は、英語が「読める、話せる」とはどういうことなのか? その本質を解説する本です。
英語が苦手とおっしゃる「英語アレルギー体質」の方に、次のように言われることがあります。「英語は簡単だと言うけど、自分には難しい」「英語がスラスラできる人と、できない人のちがいってなんですか?」
こういったモヤモヤをそのままにしていると、英語への苦手意識がさらに悪化していき、「自分には英語はできない」とあきらめてしまう原因になります。そこで、本書では、このモヤモヤの正体をネイティブの視点から解き明かします。
ネイティブの視点は日本の学校教育で習う英語文法とは異なり、もっと簡単でシステマチックに英語の仕組みをとらえているのです。たとえば、
というような、授業で教わる「文法」とはまったくちがう、まるで「(おもちゃのブロックの)LEGO」の説明書のような仕立てとなっています。
では、「ネイティブの視点」の一部を見ていただきましょう。次の文章を読んでみてください。
この文章を読んだとき、どこで区切って理解しましたか。You are hereで「あなたはここにいる」までは1つのまとまりだとわかったかもしれません。が、to 以降はどうでしょう。なんとなく意味はわかるけれど、You are here の部分ほど区切りがはっきりせず、ぼんやりした単語の並びに見えていませんか。
この英文を「ネイティブ的な視点」から見てみましょう。彼らには次のように見えています。
このように、ネイティブは「パーツの組み合わせ」で英文を読んだり、話したりしているのです。先ほど、なんとなくぼんやりした単語の並びだと思っていた文章を、パーツに分けて理解しています。パーツに分けることで、文章のもっとも重要な部分=メインパーツを明確にし、それ以外の部分の主従関係もパーツごとに視覚的に理解しているのです。
本書では、このように英文に「線」や「丸」を引くことで、その構造をわかりやすく理解する方法を紹介します。
また、「英文の仕組み」の理解を深めるために、パーツの構造をそのまま、以下のように日本語に置きかえた文章も併記しておきます。
さらに、STEP1から STEP10を通して「ネイティブの視点」で英語を理解してもらうために、えんぴつ1本で印を付け、英文の見方を手を動かしてインストールするワークを各章末に設けています。
本書を通じて、英語を「暗記して覚える」ことから「立体的に実感する」ことが可能になり、ネイティブのように英語をすばやく理解し、使いこなせるようになるでしょう。TOEIC対策や英会話の学習に限らず、すべての英語を学びたい人にとって役立つ基礎になるはずです。
また、巻末には日本人にとって使い方が難しい「7つの前置詞」について、ふろくとして解説しています。ぜひ学習の参考にしてください。
それでは、あまりネタをバラしてしまっては、本文を読んでいただく楽しみが減ってしまうので、このへんで失礼します。
Please enjoy your journey with this book!
2024年8月
松延正一
まつのぶ しょういち
1966年生まれ。福岡県出身。名古屋が本部の予備校、河合塾で約30年にわたって英語講師を務める。大学卒業後は飲食業に携わりながら翻訳家を志していたが、予備校講師として採用されると、教え方のユニークさからたちまち人気となり、毎年延べ3000人以上の大学受験生に英語を伝える看板講師となっている。著書に『アイデアをサポートする 自由英作文読本』(河合出版)、共著に『転換発想の英作文』(河合出版)がある。本書が一般向けに刊行する初の著書となる。