あなたの周りに、デスクに座っている時間が短く、オフィスをうろつき雑談をしたり、頻繁に外出しているのに、いつも成果を出しているような人はいませんか?

一見仕事をせずにサボっているように見えるけれど成果を出す人は、優先順位の低い「やめること」を決め、最短の時間で最大の成果を上げる術を身につけています。

そこで、タイパの高い人と低い人を対比しながら、作業効率をあげる方法を3つ紹介します。
(理央周さんの新著『なぜ、サボる人ほど成果があがるのか?』から、抜粋・再編成しています。)

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音声入力を活用する

×タイパの低い人
いつもキーボードを使う

○タイパの高い人
音声入力も活用する

AIの加速度的な進化もあって、スマホやパソコンの音声入力機能が驚くほど発達しています。使ったことがない人や以前使ってみたけれどうまくできずに失望した人はスマホで試してみると、音声入力の精度がかなり高いことに驚くはずです。

私は、ブログや寄稿記事の執筆など、自分の考えを言語化する仕事のときに、音声入力を使っています。A4コピー用紙の裏などに、メモしてある本やネットから得た情報や、気づきをつなぎ合わせて、大まかなコンセプトとなにをどの順序で書くかをイメージします。

そして、頭の中にある文章を、パソコンでのキーボード入力ではなく、スマホの音声入力を使ってスマホのメモアプリに書き出します。そのあとに、パソコンに向かって、追記や修正をしつつ推敲します。以前よりも正確に音声が文章化されるので、この作業もかなりラクになりました。

音声入力機能をモヤモヤの解消に使っている友人もいます。なにか腹が立つ出来事があると、思いの丈をスマホにぶつけるそうです。当然、スマホはなにも反論せずに黙って話を最後まで聞いてくれます。言葉を入力したものを目で見ると、事実と感情を切り分けられ、他人事のように客観的に見られて、スッキリするそうです。

音声入力は、抽象的なもの、あいまいなもの、モヤモヤするものの解像度を上げていくうえで、きわめて有効なツールといえます。ぜひ試してみてください。

デジタル機器は新しいものを使う

×タイパの低い人
何年も前の機器を使う

○タイパの高い人
4年に1回は機器を買い換える

私にとって、パソコンやタブレット、スマホなどのデジタル機器に使うお金は、なくなってしまう「費用」ではなく、成果を出すための「設備投資」です。

最近の私のヒットは、久しぶりに買い替えたiPadです。一緒に買ったApplePencilのおかげで仕事の進め方が劇的に変わりました。私の仕事のひとつに、ホームページやパンフレットなどクライアントの広告デザインの確認作業があります。以前は、受け取ったデータをプリンタで印刷して、赤ペンで修正を入れて、その赤字をスキャンや写真を撮り、パソコンにデータを取り込んで、メールに添付して送るという流れでした。

いまは、iPadのノートアプリにデータを取り込んで、ApplePencilで調整箇所を書き込んでPDFに書き出し、そのままメールで返信するだけになりました。プリンタがないカフェなどでも、 iPadがあればすぐ対応できるようになりました。おかげで、時間と手間の短縮にくわえて、面倒さへのストレスもかなり減らせたのです。

これに味をしめ、パソコンもMacBookProの最大スペックのものを買い足しました。 動画編集や書き出しをする処理速度をアップし、生産性をあげるのが狙いです。

デジタル機器の性能は日々進化しているので、4年に一回は見直しを検討するのがおすすめです。短期的に見ればお金がかかりますが、長い目で見て、成果につながるかどうかで判断するといいでしょう。

対面・リモートを目的に応じて使い分ける


×タイパの低い人

対面での打ち合わせを重視する

○タイパの高い人
対面でもリモートでも臨機応変

「打合せや会議は対面でないと絶対ダメだ!」と思い込んでいる「対面絶対主義」の人がいます。反対に、「いまどき対面なんて」と「リモート至上主義」の人もいます。

対面のよさは、相手の顔を見ながら、状況に合わせて話ができることにあります。 話したそうにしている人に話題を振れますし、全体のテンポもつかみやすいものです。 デメリットは、書類や会議室の用意や移動に時間がかかることです。

リモートのメリットは、投影する資料の準備や移動の時間がかからないため、場所を選ばず、すぐに参加できます。デメリットは、やはり細かいニュアンスが伝わりませんし、双方のネット環境が悪いとスムースに運営できないことがあります。

私がリモートと対面の両方の形式で講演や企業研修、大学の講義をやって感じるのは、「対面のほうが集合知を生み出しやすい」ということです。集合知とは、たくさんの人同士で対話することで出てくる気づきや知恵を指します。

もちろん、オンラインでもいろいろな工夫はできますが、実際、目の前にいる人たちと話すほうが、ジョークも言いやすいし、顔色も見られるので、いい集合知が出やすい「明るい」雰囲気で対話できます。ブレストなども、対面のほうが向いているでしょう。

目的に応じて、リアルやオンラインを選び、対話をうまくリードできるスキルを身につけましょう。

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タイパの高い人と低い人の行動を対比しつつ、作業効率をあげる方法を3つ紹介しました。普段の行動を少し変えるだけで、自分の時間を生み出すことができます。自由な時間を作ることで成果を生み出していきましょう。


理 央 周 (りおう めぐる)
マーケティングアイズ株式会社代表取締役・関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授。本名:児玉 洋典。1962年生まれ。 静岡大学卒業。大手自動車部品メーカー、フィリップモリスなど を経て、米国インディアナ大学にてMBA取得。アマゾン、 J:COM、マスターカードなどで、マーケティング・マネジャーを歴任。2010年に起業し翌年法人化。収益を好転させる中堅企業向 けコンサルティングと、顧客視点を育てる社員研修を提供。『売れない問題 解決の公式』『「なぜか売れる」の公式』(ともに日本経済新聞出版)、『仕事の速い人が絶対やらない時間の使い方』(日本実業出版社)など著書多数。