相場の世界で勝率を上げるには、自分なりの勝ちパターンを構築するのが必要。よく、本やwebのインタビュー記事で億トレの勝ちパターンが紹介されていますが、それはあくまで「他人のルール」。自分のものにするには、それをアレンジして、自分で消化する必要があります。そうしたパターン構築の前提となる「引き出し」の増やし方を、FX億トレーダー・ぶせな氏に聞いてみました。

※本記事は『最強のFX15分足デイトレード 実践テクニック』(ぶせな著)より、一部を編集のうえ抜粋したものです。

トレーダーに必要な3つの引き出し

デイトレードで利益を上げるには、勝ちパターンをいかに増やすかが重要です。勝ちパターンは、知識をインプットして実戦でアウトプットすることで増えていきます。しかし、万人に通用する勝ちパターンはないので自分で構築していく必要があります。

知識や勝ちパターンを「FXの引き出し」と考えてください。引き出しが多ければ、相場に応じて引き出しを使い分けることができるので、利益が安定してきます。「米ドル/円で使う引き出し」「荒れた相場で使うもの」や「トレンドが発生したときに移動平均線で使う引き出し」など、数が多いほうが有利になります。

逆に引き出しの数が少ないと、特定の相場でしか使うことができないので、勝てる時期とそうでないときの差が大きくなり、安定しません。ある年は300万円勝てたとしても、翌年から相場が変わって引き出しが使えなくなりさっぱり勝てなくなる、などということになります。これでは不安ですよね。

そうなると、その引き出しが使える相場がくるまでじっと待たなければなりません。しかし、冷静に待つことができるでしょうか? おそらく、待てないでしょう。また、引き出しの数をそろえても、その中身が陳腐だったり質が低いものだったりすると、トレードで勝つことはできません。では、引き出しの数が多く中身も満たされていれば勝てるのでしょうか?

答えはノーです。なぜかというと「引き出しを使いこなすスキル」が必要だからです。いいものがあっても、それを使いこなせなければダメなのです。ですから、どんなに優れたトレード手法があったとしても、100人のトレーダーがその手法でトレードすると100通りの結果が出るわけです。当然、勝つ人や大きく負ける人などが出てくるでしょう。

結果が違う理由は、手法ではありません。トレーダーごとに「手法を使いこなすための引き出しの使い方が違うから」です。まとめると、次の3つになります。

トレーダーに必要な引き出しのポイント

  • 引き出しの数
  • 中身の質
  • 引き出しの使い方

どれかが優れていれば勝てるものではなく、バランスが大切です。どんなに中身の質がよくても、それを使う場面を知らなければ利益は増えません。実践が足りないということです。また、引き出しの数が多くて使い方が上手でも中身の質が低いと、トレード回数が増えるばかりで手数料負けするなど、じりじりと資産が減っていきます。

これは、トレード経験が豊富なトレーダーにありがちです。過去に勝った経験が忘れられず、同じ蜜を吸いたいがために相場にしがみついてしまうのです。しかし、再び飛躍することはなくジリ貧になっていくのがオチです。ですから、引き出しの使い方は知識をインプットして引き出しの数を増やし、実践して中身を入れ替えながら充実させ、覚えていくことが大切です。

これからトレードルールを作るにあたり、これらの3つを意識してください。成績が安定しない場合はどれかが欠けていると考えてみましょう。

実践と検証をするときのコツは「逆算する」こと

トレードルールを決めるときに勝てるポイントだけを探そうとしても、視野が狭くなり焦る気持ちだけが先行します。チャートを見ていても、価格を目で追っているだけで、何も情報を得ることができないでしょう。勝てるポイントといっても、何をもって勝てるポイントなのか漠然としているからです。

トレンドとレンジのどちらでトレードするのか、前日の値動きはどうだったのか、エントリーはチャートがどうなったときに行なうのか、はたまた経済指標の発表があるときはどうするのかなど、そのときどきのルールを細かく決めていかなければなりません。

私がそうだったのですが、リアルタイムで動いているチャートを見ているとチャートの右側ばかり気になり、価格変動に振り回されることになります。仮に3時間チャートを見ていても、値動きを見て適当に数回トレードしてその日が終わってしまいます。結局、何も得ることができない毎日を繰り返し、何年経っても勝てるトレードルールが決められない状態になります。これでは、せっかくFXをやったのに儲からないまま終えることになります。

なぜこうなるかというと、すぐに勝ちたいという気持ちが強いため、何をするにも上の空で思考が停止しているからです。焦った状態だと、ルールを作ることはできません。ルールがないと実践も意味がなくなり、検証もしようがありません。いつまで経っても相場観だけでトレードするしかないでしょう。これではダメですね。

それでは、どうすればいいでしょうか?

まず、勝てるポイントを探そうとするのをやめましょう。もちろん、最終的には勝てるポイントを見つけてそのパターンがきたらエントリーします。ただ、これはトレードルールの最終的なゴールです。最初からゴールを目指すのではなく、どうすればゴールにたどり着けるのかを考えましょう。そこで、何ごとも逆算して考えてみてください。

勝てるポイントを探すには、何が必要ですか? まず、知識が必要ですね。

「今、どれくらいの知識がありますか?」「そもそも、何の知識が必要なのかわかりますか?」こうやって逆算して考えてみるのです。そうすると、やるべきことがわかってきます。それをトレードノートに書きとめましょう。

また、損益率がいい場面でトレードすることや、値が止まる/値が走り出すポイントを探すといいことは前述しました。損益率がいいトレードを昨日のチャートで探してみるとか、値が止まって反転している価格帯を探してみるとか、検証することができますね。ならば、なぜ反転したのか疑問に思うはずですので、上位足をチェックしてみる、時間帯を調べてみる、といったこともできます。

現実的にエントリーからイグジットが可能な時間帯であれば、さらに踏み込んで分析したくなります。そうするうちに、取引枚数がどれくらいだといくら儲かり、負けるとどれくらい損するなど、資金管理も決めたいと思うようになります。

このように、逆算して考えるようにすると次から次へと疑問がわいてきます。勝つことはひとまず置いておき、「なぜ?」を作り、自分で解決していくようにしましょう。


著者プロフィール

ぶせな

FXトレーダー。会社員時代の2007年にFXを開始。当初はスイングトレードで取引するも、1100万円の損切りを機にスキャルピングへ転換し成功。その後デイトレードを併用し、確実性を高めていく。累計利益は3年目で5000万円、4年目で1億円、2021年6月現在で1億6000万円を超えるカリスマトレーダー。継続的に利益を上げ続けることを念頭に置いているため、リスクを抑えることに重点を置くトレードスタイルが特徴。独自に編み出したライントレードをスキャルピング&デイトレードに当てはめて、12年間負けなしの実績を得ている。著書に『最強のFX 1分足スキャルピング』『最強のFX 15分足デイトレード』『最強のFX 1分足スキャルピング エントリー&イグジット実践ノート』(以上、すべて日本実業出版社)。