「ダイエットや勉強など、何か新しいことをはじめてもどうしても続かない」という人は、アメリカ人の効率化マニアがすすめる「習慣スタッキング」というワザを試してみませんか?
「これなら続けられる」と多くの読者が実感した「習慣スタッキング」のコツを、『Habit Stacking 人生を大きく変える小さな行動習慣』(S・J・スコット著)から紹介します。


成功は小さな行動の積み重ねから

デビューしてすぐにミリオンヒットを飛ばしたミュージシャンなど、世間では、凡人がたいした努力もせずに大きな成功を収めた、一夜のサクセスストーリーがもてはやされます。

しかし、実際に成功を収めた人の話をよく聞いてみると、成功はプロセスだとわかります。同じ日課を毎日繰り返し、来る日も来る日も地道にコツコツ、一進一退。そんながんばりが、長年かかって実を結ぶケースが大半です。

つまり、成功は幸運でも偶然の出来事でもなく、 懸命な努力と日々の「小さな行動」の積み重ねの結果なのです。

「習慣スタッキング」は、自分の目標の達成につながる“失敗しようのない、ほんの小さな行動”をいくつか決めて、それらを毎日のルーティンに組み込んでしまう方法です。

たとえば、「部屋をつねに片づいた状態にする」という目標があったとしたら、「1日1つ、要らないものを捨てる」という「小さな行動」を、毎朝リビングの窓を開けたあとに必ず行うようにする、といったこと。

このような「小さな行動」をいくつもまとめて(スタッキングして)毎日のルーティンにすれば、いつのまにか目標に近づいている、というのが「習慣スタッキング」のポイントです。

「習慣スタッキング」を実践するには大きく分けて3つのステップがあります。

STEP1.「人生の目標」を考え、達成につながる「習慣」を選ぶ

身につけたい習慣をやみくもにやろうとするのは、あまりかしこいやり方ではありません。何か新しいことを習慣にしたい人は、「こうなったらいいな」という目標があるはずです。そうした目標の達成につながりそうな習慣を選びます。

著者によれば、「人生の目標」はだいたい次の7つのカテゴリーに分けられます。

「仕事」「お金」「健康」「余暇」「片づけ」「人間関係」「癒し」

具体的には、「仕事」なら「生産性を上げる」「スキルアップする」といった目標になるでしょう。その目標の達成につながる「小さな行動」を考えます。たとえば──

・デスクを片づける
・「やったことリスト」をつける
・1日の始まりに2~3個の最優先タスクを決めてふせんに書き出す

などです。本書にはこのような「小さな習慣」が123個も、前述のカテゴリー別に例示されています。自分の目標と照らし合わせたうえで著者の習慣をそのまま取り入れてもいいですし、もちろん、独自の習慣を考えるのもOKです。

STEP2.「習慣スタッキング」のルーティンを作る

さて、習慣にしようと決めた「小さな行動」を毎日続けられればいいのですが、つい後回しにしたり、見過ごしたりしてしまうものです。

なぜなら、「小さな行動」自体はとても簡単にできますが、やらなかったからといってすぐに悪い事態が起こるものでもないからです。「あとで時間ができたらやればいい。覚えておこう」と考えて結局やらない。著者はこれを「覚えておこうパラドックス」と呼んでいます。

「習慣スタッキング」なら、このパラドックスに陥りにくいのです。そのためにはいくつかルールがあります。

●既存の習慣とくっつける

毎日何気なくやっている食事や歯磨き、携帯のチェックといった習慣の、すぐ前かあとに新しい習慣を組み込みます。次のようなものです。

朝起きたら歯を磨く⇔体重を測る
・パジャマから着替える⇔ジム用の着替えをバッグに詰める
・仕事部屋からリビングに移動する⇔片づけるものを運ぶ

「朝の歯磨き」という習慣を忘れることがないのは、「朝起きる」ことと紐づけられているからです。起きることが「歯磨き」という行動のトリガー(きっかけ)として定着しているのです。

「ダイエットや健康維持のために毎日体重を測定する」と決めたら、たとえば「歯磨き」をトリガーにして直後に「体重を測定」すれば、忘れることがなくなります。

●1つの習慣にかける時間は5分以下に。全体でも30分以内に

あくまでも目安ですが、1つの習慣は「5分以内の短いもの」がいいでしょう。ストレスがかからないし、1つひとつが短ければたくさんの習慣をこなすことができるからです。それでも、スタック全体の時間は30分程度に収めましょう。30分なら、毎日の生活の中でほかの時間を削らなくて済みます。

でも、もしあなたが超多忙なら15分、いや5分でもかまいません。大事なのは続けることです。

●簡単にできる習慣を合理的な順番に並べる

習慣は、あまり頭を使わない、簡単にできるものにします。複数の手間がかかることは、「習慣スタッキング」とは別の時間に行いましょう。

また、ルーティン全体が滞りなく、流れるように行われることも重要です。たとえば、寝室で2つのこと、キッチンで3つのこと、仕事部屋で2つのことをしたいとします。その場合、スタックを部屋と部屋を何度も行き来しなければならない順番に組むのは無駄です。既存のルーティンのついでにできる、合理的な流れを作るようにしましょう。