不安や気がかりで頭の中がいっぱいになっていませんか?
職場から自宅に帰っても、やり残した仕事のことが気になってモヤモヤ。休日さえも、色々な悩みが頭から離れず心からリラックスできないという人は少なくありません。
大量の雑念に意識を奪われている状態を、心理学では「マインドレス(心を失っている)」といいます。このような状態だと心配事や不安にエネルギーを奪われ、心はストレスに満ちていき、集中力も低下。負のスパイラルにはまり続けることに……。
習慣化コンサルタント・古川武士氏は著書『こころが片づく「書く」習慣』の中で、この解決策として「自分の思ったことや感じたことを書き出して頭を整理し、心が『今、ここ』に集中しているマインドフルの状態になるのが現実的な方法」だといいます。
なぜ「書く」ことで、集中力と心の安定を同時に手に入れることができるのでしょうか? その理由と効果について、第1章「なぜ書くだけで心が片づくのか?」の中から見てみましょう。
「書く」習慣はマインドフルへの近道
マインドレスの状態の問題点は「それぞれは大した問題ではなくとも、不安や心配事、気がかりが複雑に絡み合うことで解決することが難しくなっている」こと。しかし、書き出すことでそれらが解きほぐされ、1つひとつ冷静に考えることができるようになるのです。
「書く」ことで、過去の失敗から学びと対策が抽出され、後悔や自己嫌悪から解放されます。また、不安という漠然とした感情を整理して、今日やるべきこと、明日に回すことを明確に決めれば、明日のことは翌朝心配すればいいと割り切ることができます。
つまり、「書く」という行為により、頭と心が整理され、シンプルに目の前のことに集中できるマインドフルな状態を手に入れることができるのです。
さらに、「書く」習慣には、
- セルフコーチングできるので、誰かにアドバイスをもらう必要がなくなる
- 自分の状況を自分自身で客観視して悩みを整理できるため、解決のための一歩が踏み出しやすい
- 瞑想や座禅といった方法とは違い、仕事中にも行なうことができ、人目を気にする必要がなく、場所も選ばない。また、移動時間などスキマ時間で実践することもできるため、取り組むハードルが低い
という利点もあります。古川氏によると感情を整理するとにき重要なのは、出来事や自分の状況を「どれだけ客観視できるか」なのだとか。だからこそ、事実や状況、環境を客観視できる「書く」というアプローチが、感情を整理する近道だといえるのです。
「感情日記」で、自分の心のクセを知る
書くのが効果的だといっても、何から書き出せばいいかわからない人もいるでしょう。そこで最後に1つ、毎日書くことで自分の持つ“心のクセ”が見えてくる「感情日記」の書き方を紹介します。
「感情日記」とは、その日に起きた出来事の中から、心が強く動かされたことを書くシートです。どんな出来事でイライラしたり、不安になったりしたのか、感情のログを取っていくことで自分の持つ「感情パターン」が見えてきます。書き方は以下の3ステップ。
1. 毎日1つ、感情を揺さぶった「出来事」を書く
電車で足を踏まれた、上司に小言を言われた、友達にドタキャンされた……など、ネガティブな出来事。また自己啓発本を読んでやる気がでた、夫がご飯を作ってくれたといったポジティブなことなど、その日の終わりに心に強く残っている出来事を書き出します。
2. 「心のつぶやき」を書く
その出来事に対して自分が素直に思ったことを心の声として書き出します。自分が心でつぶやいていることを言葉にするのです。「これでもか!」というぐらいマイナスの声を書いてもかまいません。
3. 「感情の種類」と「度合い」を書く
不安やイライラ・焦りなど、感情の種類とその度合いを%で書きます。%で表現することによって、感情が定量化され、振り返りやすくなります。自分の感覚で、どのくらいが何%か決めてかまいません。
「感情日記」をつけていると、何か大きなマイナスの出来事があったわけではないのに、負の感情がモヤモヤと心に重くのしかかることがあるのに気づくでしょう。それを変えるためにはまず、「出来事」でなく「感情」にフォーカスすることです。
たとえば「待たされると怒る」という感情のパターンがあるとすれば、待ち時間がある場合に備えて本を持ち歩いてみる。自分の感情を先取りして対策をとることができるわけです。「感情日記」を「書く」習慣は、自分の感情のパターンをつかむのにとても有効です。
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『こころが片づく「書く」習慣』には、「感情日記」以外にもすぐにできる行動を書き出すことでアクションにつなげる「行動フォーカスシート」、時間を有効活用できる「優先劣後スケジュール」など、さまざまな状況・悩みに応じて活用する18の「書く」ワークが紹介されています。
「不安や気がかりで頭がいっぱい。常にやらなければならにことに追われている……」。そんな毎日に悩んでいる人にとって、自分を変えるきっかけとなる1冊になるはずです。