紀伊國屋書店玉川髙島屋店様、ありがとうございました

イクメンな一面もある星野代表

『旅育BOOK』は、村田さんが実践した旅育と旅行ジャーナリストとしての活動から生まれた「旅育メソッド」をまとめたもの。「役割や目標を設定、褒めて成功体験に」「旅先では家族各々で過ごす時間をつくる」といった「5つのメソッド」と、25の具体的なノウハウを紹介しています。

その他にも全国の旅育スポットや企業のサービス紹介など、コンテンツは盛りだくさん。また、スペシャル・コラムに脳科学者の茂木健一郎氏、巻頭対談では星野リゾートの代表、星野佳路氏といった著名人も「旅育」について語っています。

「旅育メソッドをまとめるためにいろいろなことを調べたときに、子どもの脳の成長と旅育がすごくリンクしていると感じたんです。でも私は脳科学者じゃないので、脳で実際に何が起こっているのかはわからない。そこで担当編集者に無理をいいまして(笑)、茂木健一郎先生に旅と脳の成長についてのコラムを5つ書いていただきました。

たとえば、大人は、子どもが小さいときに旅をしたって全部忘れちゃうんじゃないかと心配しますよね。でも茂木先生によると、鮮明な記憶として残っていなくてもプロセス記憶として残っているので、後に成長したとき、ものの考え方などに影響を与えるそうです。このコラムはとても面白いのでぜひ読んでいただきたいです」

「星野代表の息子さんと私の息子は同い年。仕事でお目にかかる際にも、つい子どもの話が出て……。そんなご縁もあり、今回はご自身が小さな時の旅の思い出や、息子さんとの二人旅についてお話しくださいました。星野さんはバリバリのビジネスパーソンでいらっしゃいますが、同時にイクメン! そんな一面がうかがえる対談は、お父さんたちの参考になると思います」

「その時」にしかできない家族旅行がある

村田さん自身の一番記憶に残る家族旅行は、「豪雨に見舞われた列車が立ち往生してしまった旅」だそうです。ピンチを救ったのは息子さんでした。

「アクシデントやトラブルがあった旅というのは、なぜかとても印象に残るんですね(笑)。九州の観光列車の旅に行ったんです。時刻表を調べて、子どもと一緒に計画を立てて。面白い列車がたくさんあるので、それを乗り継いで行く旅です。

東京から鹿児島空港へ行って、そこから乗り継いで、熊本の天草まで1日で行ってしまおうという強行軍を組んだのですが、途中で豪雨に遭遇してしまい列車がストップしちゃったんです。

さあどうしよう、ということで親がバタバタしているときに、息子が地元の方から、実は高速バスがあるというのを聞きつけて、なんとか旅を続けられました。完全に彼のお手柄でしたね。息子の成長に驚いた出来事でもありました。

旅に出ると、結構アクシデントってあるんですよね。そういうことを臨機応変に乗り越える力、タフさが身につくのも、旅のいいところです」

村田さんが旅育を始めたころにくらべて、いまは小さな子ども連れの家族旅行も気軽に行けるようになりました。でも、お母さん、お父さんたちにそれがあまり伝わっていないのが実情のようです。村田さんは、そんな心配を解消するためにも旅の情報を発信しています。

「昔は、たとえばドライブに行くにしても、オムツをどこで替えようかなど事前に決めていかなければいけませんでした。施設がまったく整っていなかったんです。でもいまでは、首都圏すべてのサービスエリア・パーキングエリアの女性トイレにオムツ替え用の施設があり、宿ではお子様連れ専用の部屋があるなど、気軽に出かけられるようになっています。国内海外問わず、お子さん連れ専用のパッケージツアーも夏休みには発売されます。

小さいお子さん連れの旅に出かけることを躊躇してしまう親御さんたちも多いと思います。そんな方々に、こうしたサービスをご紹介するのも私の役割だと思っています。

たとえば、仕事柄、客室乗務員の方に取材することが多いのですが、客室乗務員の皆さんっていろんなサポートをしてくださる、本当に頼りになる存在なんですね。でもお母さん、お父さんたちにはそれが伝わっていなくて、子連れで飛行機を利用することをあきらめている方が多いんです。『旅育BOOK』でもJALの客室乗務員さんのインタビューを掲載していますが、上手に頼れば、きっと安心して快適な旅ができます」

最後に村田さんは、星野代表の言葉を紹介してイベントを締めくくりました。

「対談の中で星野さんもおっしゃっているように、夏休みは毎年ありますが、小学校1年生の夏休みは1回だけです。子どもはあっという間に成長し、親子の関係も年々変わっていく。旅にも、その時々じゃないとできない旅がたくさんあります。

ですから、ぜひ皆さんにも、家族でどんどん旅行に出かけていただきたいです」


プロフィール

村田和子(むらた かずこ)

旅行ジャーナリスト。1969年生まれ、1児の母。子どもが生後4カ月のときに家族旅行を開始、9歳までに親子で47都道府県を制覇。AllAboutでは子どもが産まれた2001年からガイドを務める。『週刊文春』での連載、JALサイトでは「初めての子連れ海外」ページを監修・執筆するなど、家族で旅をする魅力やヒントを多方面で伝え、2013年に旅を通じて絆を深め、子どもの生きる力を育む「親子の旅育メソッド」を発表。子どもが旅育を実践し中学入試で志望校である国立大学の附属中学に合格したことを機に『プレジデントファミリー』『AERA with Kids』をはじめ雑誌・新聞などで注目され、『日経DUAL』では3年半にわたり旅育について連載。講演や宿のコンサルティングも手掛ける。webサイト「家族deたびいく」運営。旅行業務取扱管理者・クルーズコンサルタント。
公式HP(トラベルナレッジ):https://www.travel-k.com/
家族deたびいく http://tabi-iku.jp/