1日4単語のペースでボキャブラリーを増やしていこう!

生まれたばかりの赤ちゃんが1歳になるころ、脳内では芽生えはじめた言葉に対するエネルギーが一気に爆発する時期が訪れます。お父さんやお母さんの何気ない会話にも耳をじっとかたむけて、一つひとつの単語を学習していき、1歳半頃から自分の言葉として話しはじめます。

当然ですが、英語を話すときにもこのボキャブラリー(語彙)が重要になります。アメリカの言語学者であるスティーブン・ピンカの名著『言語を生みだす本能』の記述によると、「子どもの言語は1歳半ごろから2時間に1単語ずつ増えていく」とあります。平均して1日8時間起きていると考えると、1日4単語覚えていく計算になります。つまり英語ネイティブの子どもは、1歳半~5歳までの3年6カ月でおよそ5000語の言葉を覚えることになります。

ということは日本語ネイティブの子どもも、1日4単語のペースで単語を覚えていければ、5歳までに英語ネイティブに近いボキャブラリーを身に着けることができるのです。

子どもが単語を覚えるためには、お父さんお母さんがたとえネイティブではなくとも、子どもの顔を見ながらゆっくりと、そしてはっきりと英語で話しかけることが大切だと茂木さんはいいます。

まだ言葉がよくわからない子どもに英語で話しかけても理解できないのではないかと思うかもしれませんが、そんなことはありません。私たち大人が思っている以上に、子どもはきちんと親の言葉を理解しています。

英語で考えるのに日本語を排除する必要はない

私たちが普段何かを考えるときには、日本語で考えています。では、英語ではどうでしょう。きっと英語で話をする場合、大半の人は一度日本語で考えてから、英語に「翻訳」しているはずです。しかしそれでは、どうしても会話のテンポが遅れてしまい、話が弾みません。

このギャップを埋めるために、多くの専門家がさまざまな方法を提唱していますが、「最初のうちは英語で考えようとしなくていい」というのが茂木さんの考えです。なぜなら日本人に限らず、第二言語を学ぶときというのは、ほぼ例外なく母語で考えることが研究結果からも明らかになっているからです。

日本人である以上、脳のなかの日本語の回路が豊かに育っています。無理やり英語で考えるよりは、素直に日本語で考えたほうが言葉の組み合わせなどの選択肢も多く、複雑なことも考えられます。

ですので、最初は日本語を自転車の補助輪のような役割で位置づけておき、そのうえで英語で考えるという癖をつければいいのです。

また英語で物事を考えるうえで必ずしも日本語を排除しなくてもよいという根拠として、“言語の化石化”があります。言語の化石化とは、外国語を習得中に起こる、ある特定の規則が誤って習得され、そのまま定着してしまう現象のことです。ときとして正しくない音や語彙、文法などが間違って定着してしまったときは、一旦日本語を介することで、間違いを修正しより外国語の理解を深めることができるはずです。

時間がかかってしまうとしても、まずは日本語の回路を否定せず、英語を取り入れていく。それが英語で考える力を養うための土台となるのです。

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『英語が得意な脳の育て方』は、「いますぐできる超実践 英語トレーニング」や「子どもが英語好きになる秘訣」など、お父さんお母さんの子どもの英語教育に関する疑問にしっかりと答える1冊です。茂木さん自身が感じた世界の英語教育事情や脳科学の観点から導き出された英語との関わり方は、一生ものの「英語が聴ける・話せる脳」を手に入れるための助けとなる書籍になるはずです。