新入社員や就活生向けに役立つ本をテーマ別で紹介している短期連載・第4回目は「人間関係」がテーマ。
かの清少納言も『枕草子(第28段)』でイラつく人のタイプを列挙しているように、人間関係はこの世で一番わずらわしいもの。「この世の人間が自分だけならどんなにいいか」などと夢想する人も多いでしょう。でも、それでは生活が成り立たないので、渋々でも人付き合いをしながら生きていかなくてはなりません。
そこで「人付き合いを多少は楽にする方法」の一部を、解説している本とともに紹介します(各書影をクリックすると、Amazonに遷移します)。
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人間なんて、責めたところでそう簡単に変わらない
世の中にはいろいろな「関わりたくない人」がいますが、その最たるものがこちらを必要以上に傷つけてくる「当たりがキツい人(以下キツい人)」でしょう。
それは会社の上司や同僚に限りません。「毒親」という言葉があるように、家族の中にすら存在し得ます。帰省して開口一番「アンタ、いつ見ても姿勢は悪いし貧相な顔つきしてるねぇ」などと言われ、「何と言われようが老後の世話はみない」と決意する人も多いでしょう。
なぜ、キツい人はそうした行動をし、どう対処すれば楽になるのか。その理由と対処法をみてみましょう。
キツい人と「外的コントロール」
心理学者のW.グラッサー博士は、「外的コントロール」という言葉を用いて『選択理論』という説を提唱しました。そこでは、外的コントロールについて以下のように述べられています。
- 外的コントロールとは「外部からの刺激によって相手を変えることができる」という考え方のもと、次のような行動・習慣として表れる
(批判する/責める/文句を言う/ガミガミ言う/脅す/罰する/ほうびで釣る) - この習慣が実践されるところでは基本的欲求が充足されず、問題が発生する。
このうち太字で表している6つの行動は、キツい人の言動にまさしく当てはまるものです。普通の人なら「その方法じゃダメだよ」と教えてくれるだけのところを、キツい人は「その方法じゃダメだよ。少しは頭使えよ」と余計なひと言を付け加えがちなのを想像するとわかりやすいでしょう。
そして2つ目について。外的コントロールをする人は「このように言えば相手が変わる」と信じている節が強いですが、言われた側は表面的には行動を変える(というより強制される)ことはあっても、内面では精神を消耗させるだけで変わっていくことはありません。「表面的には従ったけど内心では反感を積もらせ、残ったのは言った人に対する憎悪だけ」という経験は誰でもあるでしょう。
自分をストレスから守るには
そうしたキツい人に対し、一番簡単で最大の効果的な対処法は「一切関わらないこと」ですが、現実的にはそうもいかない場合が大半です。ここではそれ以外の対処法について解説しますが、その前にあなたが心得ておくべきこととして「自分で自分を承認することの大切さ」があります。
人間は自己承認の程度が強いほど、ゆるぎない人格を確立して、他人の批判の影響を受けなくなります。そうした信念の人が周囲の承認を続けるなら、強い影響力を行使して、承認が承認を呼ぶ楽園を築き上げるものなのです。
そうしたレベルにいたれば、キツい人も一目置くことでしょう。キツい人もそう簡単に手出しができないに違いありません。キツい人とのコミュニケーションを改善するということは、究極はこうした人格を完成させることでもあるのです。
(『人間関係にうんざりしたときに読む本』P.155より)