個人投資家として「地方・ボロボロ一戸建て」の不動産に投資して収益をあげてきた黒崎裕之さんは、不動産会社の現役社員でもあります。ここでは、業界事情をよく知る黒崎さんだからこそたどり着いた投資法のポイントを語ります。

(本記事は『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』の一部を再編集したものです)


私は、不動産会社でサラリーマンをしながら不動産投資をしています。現在所有している不動産の規模は、木造、軽量、重量鉄骨造のアパート、区分マンション・戸建てで、合計10棟2室約50部屋となり、不動産収入からローンを引いた残りの金額は約1300万円です。

これは、不動産会社での業務の経験から、「高利回りの築古物件で運用すること」が一番低リスクで確実な手法だと感じ、徹底的に実践を重ねながら勉強を続けてきた結果です。

そしてそのノウハウを『100万円からできる「地方・ボロボロ一戸建て」超高利回り不動産投資法』という本にまとめました。本書で紹介するのは、「地方の、しかも人気のないボロ物件で収益をあげる方法」です。これまでの投資法とまったく違うこの方法をお勧めするのは、おもに以下のような理由によります。

個人投資家にとっては厳しい環境

今は、「不動産投資三重苦」ともいえる時代です。

アベノミクス以降、とくに日本銀行の政策である「量的・質的金融緩和」「マイナス金利政策」によって融資が受けやすくなり、サラリーマン大家による不動産投資がブームとなりました。私が不動産投資をはじめた2010年ごろと比較すると、参入障壁が下がり、間口が圧倒的に広がっているのです。その影響もあり、投資物件は高騰してきました。

それにもかかわらず、2015年の相続税改正の影響を受けて、新築アパート・マンションはどんどん建築されています。相続税の評価減を狙った地主に向けて、不動産会社の営業マンが売り出しに動いた結果、明らかな供給過多が見られるのです。

それほど需要があるようには思えない田舎の県道沿いに、たくさんのハウスメーカー製のアパートが建ち並んでいます。最近では、神奈川県の新築物件でも半年経っても埋まらないという話をよく耳にします。家賃が暴落しているエリア・物件も増えてきています。

そして昨年の秋ごろ、都内新築シェアハウスのサブリース家賃未払い問題が明らかになりました。銀行審査への不正も指摘されるなか、不動産投資への融資状況は以前より厳しくなってきています。

物件は高いのに融資は厳しく、それでいてライバル物件はたくさん存在する……。このような「不動産投資三重苦」のなかで、どのように不動産投資を進めていけばいいのでしょうか。

都心部の不動産投資はもう儲からない!

結論からいうと、今狙うべきは「地方の穴場エリア」です。都心部の不動産に投資するのは、得策ではありません。

こういうと、大半の人は「これからの時代、人口減少が少ないエリアを選ぶべきなのでは?」「地方の穴場でも賃貸需要はあるの?」という疑問を持つかと思います。

その前に、もう一度都心部の不動産投資環境に目を向けてみましょう。前述のように物件は高いですし、競争が激化しています。プロの投資家が物件を狙っていることも多いので、勝つために相当な努力をしなければなりません。

そもそも、これはエリアに関係なく不動産投資で成功するための基本原則なのですが、「安く買うこと」がもっとも重要です。相場より割安で買えていれば、ほぼ失敗はあり得ません。逆にいうと、買った時点で勝敗が決まっているといっても過言ではありません。

都心では、割安な物件を探すのが非常に難しいです。当たり前ですが、もっとも地価が高いエリアで、おいそれと個人投資家が購入できるような物件はありません。小ロットであっても3000万~5000万円程度、1棟マンションに至っては東京都下であっても億を超えます。

たとえ古い戸建てや小ぶりなアパートであっても、再建築不可や借地権、建ぺい率・容積率オーバーといった違法物件も多く、物件売却の難易度も高いので、初心者には手が出しにくいです。それにいくら安いといっても、都内ではこうしたワケあり物件でさえも数千万円はするものばかりなのです。