不安、イライラ、悲しみ……。その原因は過去にあった
学校や職場などでなぜか周囲になじめなかったり、何をしていてもどこかで「自分はダメだ」「どうせできない」とあきらめの気持ちがあったり……。こうした「うまくいかなさ」の原因には、幼いころの記憶が関係しています。
人は胎児期から6歳ごろまでの幼児期に体験した居心地の悪い記憶(トラウマ)によって、自分の内側に5つの人格(キャラクトロジー)を抱えます。そのキャラクトロジーの現れ方や、そこから生まれる「心のクセ」によって、その人の性格や趣味嗜好、姿形や人生の選択までもが決まっていくのだとか。この心のクセに向き合うことで、本来の自分を知り、人生をよいものとしていくのが「キャラクトロジー心理学」です。
心理カウンセラーの山本美穂子さんが、フロイトから始まりアドラーも研究を重ねた「トラウマ」を癒す人格構造学を、日本人2万人をカウンセリングした経験から日本人にあった形に変化させ確立したものです。
人間は本来、人との関係性の中で己を知り、誤解に気が付き、癒していくことができる生き物です。しかし、実際には「私はこうだから」というレッテルを自分に貼り、「これが私なのだから仕方がない」という言い訳の中に閉じこもり、同じような思考パターン、行動パターンから抜けだせない「心のクセ」ができてしまいます。
ではその「心のクセ」はどのように作られていくのでしょうか? キャラクトロジー心理学では、この心のクセは「トリガー」「トラウマ」「ディフェンスシステム」に原因があるとしています。
「トリガー」の奥にトラウマが隠されている
「怖いもの」「嫌なもの」を思い浮かべてください。人によって様々だと思いますが、たとえば「上司の叱責」が嫌いという場合。具体的にあなたは、上司の叱責の何が嫌いなのでしょう?
それが「指示がコロコロ変わること」だったとします。では、どうして指示がコロコロ変わることが嫌なのでしょう。上司が朝に出した指示を午後になって急にひるがえしたとき、あなたはどんな反応をするのでしょうか、思い返してみてください。
あなたはそのとき、「ああ、嫌だな」と思い、黙り込んで心を閉ざしてはいませんか? もしくは「またこのパターンか」と落胆し、泣きそうな目で周囲に救いを求めてはいませんか?
また、次のようにも考えてみてください。その反応は、上司に対してだけでしょうか? 恋人や友人にもしていませんか?
そうだとすればあなたが嫌なのは「急に物事が変化すること」であり、変化を求められると自分のカラに閉じこもってしまう「心のクセ」を持っているのかもしれません。
このとき「指示がコロコロ変わる」ことがトリガーであり、そのトリガーが引き起こす「嫌だ」という感情、殻にこもってしまう自分、それらが「トラウマ」です。
そして、私たちは無意識のうちに「トリガーが引かれるとトラウマが刺激されて、同じ反応をしてしまう」というシステムを作ってしまっています。これが「心のくせ」=「ディフェンスシステム」です。ディフェンスシステムのベースにはトラウマがあるため、そのトラウマに気づくことが、「心のクセ」を変える第一歩なのです。
トラウマの正体と癒し方を知る方法は?
自分の中にトラウマがあることに気づき、ディフェンスシステムに気づくと「心のクセ」を変えられる。そうは言っても、自分の中にどんなトラウマがあるかに気づくのは至難の技です。
というのも、「心のクセ」を作り出したトラウマは昨日今日にできたものではなく、胎児期から幼少期にかけて、自分ではどうしようもないことが原因で作られたものである場合が多いからです。
では、どうすれば自分のトラウマに気づくことができるのか?
そのために、キャラクトロジー心理学ではトラウマを5つに類型化。自分がどれに当てはまるかを知るために、21の質問を用意しています。この質問に答え、自分の一番強いトラウマのタイプ=キャラクトロジーを知り、あなたの「心のクセ」に向き合うことでよい変化が訪れます。本来の自分のの中にある「こうなりたい」「こうありたい」の声に耳をかたむけることで、いきいきとした人生を歩むことが可能になるのです。
キャラクトロジー心理学を学んだ人の中には、ひきこもりや拒食症などのメンタルの不調が改善した人や、人間関係が大幅に良くなった人も多くいます。キャラクトロジー心理学で人生が劇的に変化する可能性があるのです。
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山本さんの著書『キャラクトロジー心理学入門』には、心のクセ=ディフェンスの原因となる心の傷を理解して癒し、本当の自分を取り戻すことための具体的な方法や、5つのキャラクトロジーごとのトラウマの対処法などが丁寧に解説されています。日常の「うまくいかなさ」にもやもやしている人にとって、新たな1歩を踏み出すきっかけになるかもしれません。