我々の生活とは切っても切り離せない「広告」。掲載媒体や予算規模による違いはあれども、アイデアを形に落とし込むためにはある程度一定のワークフローが存在します。就職・転職を機に「クリエイティブワークの最たるものである、広告関連業務に関わりたい」という人も多いことでしょう。
そこでTVCFやWebCMで使われる「動画広告」、雑誌や屋外広告などの印刷で見せる「グラフィック(グラフィック広告)」それぞれの一般的な制作過程と、広告表現に関する規制にはどのようなものがあるのかを簡単に見てみましょう。
動画広告の要素とワークフロー
動画広告で必要となる要素
以前は「動画を用いた広告」というと事実上TVCFのことを指しましたが、近年はYouTubeなど各種動画プラットフォームが充実していることもあり「Web限定CM」などで動画広告が用いられることも増えています。どこで動画を流すにせよ、動画広告の重要な要素は「映像」と「音声」の2つにわけることができ、それぞれを細かく見ていくと下図のようになります。
例としてビールを売るための広告を考えてみましょう。全体のコンセプト設計にもよりますが、商品映像のバックでナレーションが「うまい」「鮮度が違う」などの売り要素を淡々と説明するだけの動画では、広告を出す目的の達成はおぼつかないでしょう。ならば、購入につながる要素を味付けしていかなければなりません。
そのための素材が「キャストが飲み干す映像」「テロップなどのCG」「のど越しの良さをイメージさせるSE(効果音)」「飲みたくなるような心が浮き立つ音楽」などの要素であり、これらをどう組み合わせて訴求力の高い広告に仕立て上げるかが、広告会社の制作部門の腕の見せ所になります。
動画広告ができるまで
これらの要素を組み合わせて実際の広告とするには、大きく分けて
- 広告会社の営業部門がクライアント(広告主)にヒアリングした内容に基づいて、社内の制作部門と打ち合わせ。制作部門は表現コンセプトの概略を固めて、アイデアをブラッシュアップ。
- 映像化の条件クリアのため、外部制作会社を含む協力者と連携や打ち合わせ。その結果を、ストーリーボードやビデオコンテ(本物のCMに近いイメージに音入れしたもの)を作り、プレゼン資料に落とし込む
- プレゼンでクライアントからのGOサインが取れたら、実制作段階に移行。撮影や編集、音声&映像のミキシングを行い、試写会を経て納品・オンエア
の3段階があります。提案段階では数多くのコンテ(ビジュアルと文章でCMの流れを説明するもの)が作られ、具体的なプロセスは次の図のようになります。