江口さんは「相談」ではなく「確認」をすすめています。仕事に行き詰っても、自分で考えた打開策を持って「こういうやり方でやってみようと思いますが、いいでしょうか」と上司に「確認」するのです。たとえその解決策が効果的なものではなかったとしても、自分で考え抜く姿勢と熱意を、上司は認めるでしょう。

「確認」は上司とのコミュニケーションにおいても必須です。上司から仕事の指示を受けはりきって取り組んだとしても、指示の内容を少しでも取り違えたことが原因で、進め方や結果が上司の狙い通りにならなかった、ということはよくあることです。それを防ぐためには自分から念を入れて確認することが大事なのです。大きな仕事であれば、書面にして見てもらうことも必要でしょう。

「ほうれんそう」も大事ですが、「かくれんぼう(確認・連絡・報告)」を大切にすると、相手も安心して仕事を任せてくれるようになります。

要領よく仕事をする

「要領がいい」という評価は「手抜き仕事をしているのにうまく立ち回るから上司のウケがいい」といった悪いイメージがあります。江口さんは、仕事ができる人へのひがみや嫉妬が原因で悪口になったのではないか、と推測しています。本来、「要領がいい」というのはほめ言葉だからです。

「要領よく仕事をする」というのは、仕事の結果が迅速、正確かつ鮮やかで、上司の期待通り、いやそれ以上の結果を出すということなのです。(218ページ)

「要領がいい」とは、具体的にはどういうことなのでしょうか。江口さんは次の6つをあげています。

1.仕事の優先順位を決めながら、柔軟に順番を入れ替えること。
2.仕事が速いこと。
3.創意工夫をして、今までにない仕事の仕方を考え出すこと。
4.次の仕事の段取りを想定しながら、今の仕事の処理をしていくこと。
5.ときに他人の力を借りること。なにより、これらのことを、
6.楽々と余裕を感じさせて仕上げること。
(221ページ)

これらは、漫然と仕事をこなすだけでは実践できないことばかりです。働き始めの新社会人の皆さんには難易度が高いかもしれませんが、少しでも意識することによって仕事への取組み方が変わってくるはずです。

新人でも遠慮することなく、前例にとらわれない新しい仕事のやり方を考えてみる。目の前の仕事に取り組みながら、次の仕事の段取りを意識する。自分の手にあまる仕事は同僚の力もどんどん借りる。

要領よく仕事をすることは「仕事の基本」です。「速く、鮮やかに」仕事を仕上げる。「涼しい顔をしていく」ことによって、あなたは着実に仕事ができる人と評価されるでしょう。
ぜひ、要領のいい「仕事の達人」になってください。(227ページ)


本書に書かれている22の「仕事の基本」は、それを実践することで自分をひとまわりもふたまわりも成長させてくれるような、仕事と人生のとても大きな指針です。

働き始める新社会人はもちろん、彼らを指導する立場のビジネスパーソンにも前向きな影響を与えてくれる1冊と言えるでしょう。