返信がなくても動けるしかけを仕込む

メールには、想定した期限内に返信がもらえない「待ち状態」リスクが常について回ります。このリスクを避けるため、本来の期限より前に返信期限を設定したり、繰り返しリマインドを送ったりしたことがある人も多いのではないでしょうか。

しかし、どんなに対策をとったとしても、リスクをゼロにすることはできません。そこで膨大な仕事を最少の時間でどんどんこなしているコンサルタントが講じているのが、期限を切るだけではなく「自動アクション」を書くという方法。自動アクションとは、返信がなくとも自動的にアクションができる状態を作ることです。

具体的には「期限内に返信がなければこうします」という内容を書くのです。たとえば、資料のレビュー依頼の場合、「3日以内にレビューのフィードバックをいただけない場合、送付時点の資料にてレビューOKとみなさせていただきます」といった一文を付け加えることで、返信待ちで仕事が先に進まないリスクの影響を極力抑えることができます。

相手からの返信が遅れる可能性がある場合は、「期限つき自動アクション」を仕込んで、先手を打つことで、「待ち状態」による仕事の遅れを避けることができます。

ただし、当然ながら用件や相手によっては使えないことがあります。たとえば、1億円規模の予算承認を依頼するときに、「返信がなければ承認されたとみなします」と進めることはできません。自動アクションは、あくまで小さな進捗阻害要因に対して使うようにしましょう。

“強制力”を備えたメールで反応速度を上げる

泉くん:「よし、これで東出さんでも返信してくれるメールを作れた気がする!」
君島さん:「うん。だいぶ東出さん向けになったと思うよ」
先輩:「ちょっと待った! あともうひと工夫が必要だ」
泉くん・君島さん「??」

なかなかメールの返信がもらえない……。そもそも「優先度が低い、後回し」と判断されたメールには、さらにリマインドメールを送ったとしても、なかなか反応が返ってこないものです。効率的なコミュニケーションを通じて、すばやく仕事を進めることに長けたコンサルタントは、TOとCCをうまく利用して、メールに強制力を持たせることで、メールの反応率を上げているといいます。

ポイントは「あの人に見られている」という意識を相手に持たせることです。その代表的なものが、リマインドメールのCCに相手の上司を追加する方法です。

これにより、「このメールはあなたの上司も見ています」「期限内に返信していないことを、あなたの上司も把握しています」と暗に伝え、メールに強制力を持たせることができます。すると「面倒くさい」とメールを後回しにしていた人も、リマインドを無視しにくくなります。

仮に、CCに上司を入れても効果が薄い場合は、上司をTOに入れる、メール本文の宛名に上司の名前を入れる、メール本文に「〇〇様(上司)からも状況確認いただけますと幸いです」と書くなどして段階的に強制力を高めることも可能です。

ただし、「上司に訴える」ことには「相手を信用していない」という意味が暗に含まれます。すなわち「相手の顔に泥を塗る行為」と受け取られる可能性も高まるため、やりすぎには注意が必要です。

メールに限らず、さまざまな人と関わりながら進めていく仕事の現場では「型」ともいえる効率よく仕事をこなすためのコツを身につけることが大切になります。生産性の高いコンサルタントが実際の現場で活用している、「段取り・伝え方・メール・資料作成・会議」といったテクニックをあますことなく公開している『外資系コンサルは「無理難題」をこう解決します。』はきっと役に立つはずです。