都内には木枯らし1号が吹き、すっかり日が落ちるのも早くなりました。長い夜のお供になる本を求めて、書店に足を運ぶ人も多いのではないでしょうか?
弊社の秋のフェア、「人生をおいしくする本 BOOK MARCHE」を展開していただいている書店様にお話をうかがったので、そのレポートをアップします。
今回はお邪魔したのは、埼玉は北与野にあるBook Depot書楽さんです。(日本実業出版社 桑田)
地域の人が立ち寄る本屋さん
JR北与野駅の改札を出てすぐ、埼玉県で最大規模の複合書店としてお客様をむかえてくれるのが、Book Depot書楽。同店のビジネス書担当・出垣さんにお話しをうかがいました。
―中心となる客層としてはどのような方が多いですか?
平均年齢が高めで、年配の男性が多いですね。お店の場所柄、通勤・通学の要所というわけでもないので、地元の住人の方が足を運んでくださっています。
平日は、年配の方が文庫本の時代小説や雑誌を何冊も買っていかれたりということが多いです。休日は、ファミリー層が目立ち、親子で児童書のコーナーに足を運んでいただいています。
なので「ビジネス書が強い店!」とはいえないかもしれません(汗)。
―そうした中、なぜ今回、弊社のフェアを大きく展開してくださったのでしょうか?
ズバリ売れるからです。私が今まで携わった中だと、日実さんのフェアが一番安定して売れます。そのため、ご提案をいただいたら、毎回ちゃんと展開させていただくようにしています。
本音をいうと、新刊段階ですごく売れる!というのは難しかったりするのですが、「ロングセラーを含めたおすすめセット」という形でフェアを展開すると、多くのお客様に手にとっていただけているなと感じています。
実際、フェアのたびに、売れる本として掘り起こしに成功するタイトルが一つはあり、前回は今回のフェア商品にも入っている『そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?』(深沢真太郎:著)が、売れ筋商品になりました。
ですので、今回も新たな当店のヒット書籍が生まれるのでは、と期待をしています。
―出垣さんはビジネス書を担当されて長いのでしょうか? また、最近売れているビジネス書にはどういったものがありますか?
他のジャンルを掛け持ちしつつ、入社してからずっとビジネス書を担当しています。といっても4年ほどなので、まだまだ試行錯誤中です。
肌感覚としては、当店ではライフスタイルのジャンルになりますが“よく眠るための本”や“体を鍛えましょう”といった健康本、“IoT(Internet of Things)”に関する書籍が売れている気がしますね。
また『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)など、仕事と自分の生活とのバランスをどうとるかといった書籍が、一大ジャンルとして売れています。
―去年ぐらいから、マンガ化するビジネス書も増えましたが、それも定番の1つに?
正直、ビジネスコミックは失速しています。一時期、マンガにすれば売れるという雰囲気がありましたが、一般的な書籍よりも製作に労力がかかるわりに、必ずしもリターンが大きいものではなくなっているなと思います。
といっても元々ヒットした書籍をマンガ化したものは比較的読まれているので、やはり内容なのでしょうね。最近だと『地頭力を鍛える』(東洋経済新報社)や『誰とでも 15分以上 会話がとぎれない!話し方 66のルール』(すばる舎)ですね。
実はボードゲームは書店の人気商品
―名刺を拝見すると、“ボードゲーム担当“ともなっていますが……
あ、そうなんです。実は私、ボードゲームが大好きで、担当として趣味と実益を兼ねています(笑)。その売り場を大きくとっているのが他の書店さんとの違いかもしれませんね。
ボードゲームというと人生ゲームやオセロがぐらいしか知らない方も多いかもしれませんが、私が知っているだけでも200種類以上、早ければ3歳から始められるものなど、世界中で愛されているものがたくさんあります。
また、ゲームといっても遊びながら論理力や交渉力が鍛えられるので、大人が遊ぶサークルやボードゲームカフェなどが流行っているみたいですよ。
たとえば「ナインタイル」というパズルゲームは、テレビで「東大生が頭を鍛えるのに使っているボードゲーム」としてとりあげられ、アマゾンで300個あった在庫が一瞬で売り切れたそうです。また、日本発の頭のよくなる推理カードゲーム「argo」は、「ダ・ヴィンチコード」という名前で世界中で遊ばれています。
営業さんでもやってらっしゃる方が結構いらっしゃるので、たまに一緒に遊んでいます(笑)。
―実は少し前になるのですが、弊社から『投資とお金の大事なことはモノポリーに学べ!』という書籍を出版し、モノポリーと一緒に書店さんで並べていただいていたこともあるんですよ。
面白そうですね! うちの店でもぜひ、ボードゲームと一緒に展開させてください。
―他にも、陳列などのこだわりなどありますか?
こだわり……とまでいえるかわからないのですが、細かく書籍の並べ方には手をいれるようにしています。
最近だと、出版社ごとに並び替えてみたり、本の大きさを揃えて、大きいサイズのものとわけてみたりして……。出版社ごとでわけると書籍の大きさやマークが揃い、背表紙のデザインが似てきたりするので、お客さんにとって見やすかったりするんですよね。
また、レイアウトを変えることで、あまり売行きのよくなかった棚の本が動き出したりするので、常にベストな状態になるように心掛けています。ただ、どうしても作業が大掛かりになってしまうので、計画的に、お客様にご迷惑をかけない範囲で試行錯誤しています。
……ときには「これだ!」と思ったレイアウトが大失敗……なんてこともあるのですが(汗)。本の仕入れから陳列まで、これからも、地域のみなさまのお求めに応えられるよう頑張っていきたいと思います!