1.事実の受け入れ
会社の業績が振るわないとき、ついネガティブな姿勢になりがちです。次のような言い訳が次々に出てきます。
「うちは人材が足りないし、資金も足りないから厳しいよ」
このような言葉はいわゆる無いものねだりであり、好ましい状況を生み出しません。一方で成功している組織に共通するのは「今あるものでベストを尽くす」という姿勢です。
「今いる人材で生産性をあげるにはどうしたらいいかを考えよう」
「今の我々の実力でどれだけ努力したら目標を達成できるか」
無いものねだりではなく「事実を受け入れ」て考えたほうが建設的であり、成果に結びつきやすいでしょう。上司が部下に語りかけるときも、「何を言ってもどうせ無駄だろうけど」というネガティブな思考ではモチベーションはあがりません。
「今の状況でどうしたらベストかを一緒に考えよう!」
と言葉をかければ、部下の心に響きやすくなります。
2.とらえかた変換(ポジティブな発想転換)
考え込みがちで仕事に着手するのが遅い部下に対して、「早く取り組みなさい」と指示を出しても、相手はあせってしまって余計に一歩を踏み出せなくなる危険があります。このようなときは、ひと呼吸おいて「彼はじっくり考えるタイプなんだな」と発想を転換して、部下を承認してみてください。そうすると、「時には思い切って一歩踏み出すことも大切だよ」と指導しようという気持ちにつながりやすくなります。
状況や事実(「着手が遅い」)は1つですが、解釈(「先延ばしグセ」か「じっくり考えるタイプ」か)は複数存在することが多いのです。よりポジティブに解釈することによって、部下指導の方法は大きく変わります。事例をあげましょう。
比較的簡単な仕事を部下が仕上げたとき、ほめるべきか迷いつつ、ついこう言ってしまうことがあるのではないでしょうか。
「できて当たり前だ」
しかしこれを聞いた部下は「当たり前のことしかできないと思われている」というネガティブな感情を持ちます。
この場合は、「できて当たり前」という解釈を「次に進める段階にある」あるいは「伸びしろがある」というように「とらえかた変換」します。
「そこまでできたのなら、さあ次に進めるね!」
このようなポジティブな言葉をかければ、部下も前向きな気持ちになれます。