(2)相手を「分析」しないで、ただ「感じる」

普段の生活で出会う人に対して「この人はどんな性格なの?」「信頼できる?」「本心は何を抱えているんだろう?」などと、あれこれ分類・分析してしまうことがあります。それが行き過ぎると、こちらも心を開いて付き合いにくくなることもあるでしょう。

その分析が当たっていればいいのですが、人は見誤る生き物。分析に頼り過ぎれば、人間関係の可能性を狭めてしまうことにもなります。ならば、いきなり相手を分析せずに、その人のあるがままを感じてみてはいかがでしょうか。そちらの方が、ポジティブで開放的な人間関係を築けるはずです。

(3)怒りの感情は、後ろへスルーしてから吐き出す

「怒り」という感情はとても厄介。今ではその「怒り」をコントロールする本もたくさん出版されています。

桜井さん自身も、若いころは卑怯な手を出してくる相手に対してよく怒っていたそうですが、今はその感情をスルーする感覚を身に付けているといいます。その方法は次の通り。

怒りの感情を抑圧するのではなく、いったんは自分のなかで怒りの正体のようなものを咀嚼したうえで吐き出す感覚である。(183ページより)

つまり、怒りをコントロールしようというわけでもなく、そのまま表現するわけでもない。一度、怒りを受け止めて、反芻した上で表に出すのです。桜井さんは、感情は素直に出すべきだと言います。しかし、出し方に工夫が必要なのです。

ここであげた3点はいずれも、自分に対して正直になるということを意味し、自分に正直になることは、そのまま「自然体」につながります。他者の価値観に惑わされずに自分の軸をつくり出すことが、プレッシャーに負けず、どんな場面でも力を発揮できる自分をつくりあげるのです。

本書の最後の章のタイトルは「自分の代わりは誰もいない」。

失敗したら取って代わられる、ミスをしたらその仕事から外される…そういう恐怖心に付け込んで支配しようとする人もいます。確かに「仕事」や「立場」ならばそうかもしれません。しかし、自分が今生きている人生は、誰とも取り替えることができないものです。

この感覚を身に付けたときにこそ、自然体に生きるということができるようになるはずです。