7/10より1か月の間、NY国連本部で「持続可能な開発サミット(Sustainable Development Goals:SDGs)」にまつわる展示が行なわれていました。日本国内でも、そのPR役としてタレントのピコ太郎さんが起用されたことが、一時期話題にもなりました。
しかし、普段国連が何をしているのか、あるいは何をするために存在し、その権限はどれほどのものなのかを意識する機会はさほど多くありません。そこで、国連と主要組織の一部、存在目的・役割について簡単にみてみましょう。
国連の組織と、その存在目的
国連は6つの主要機関を核とし、そこに各専門機関・関連機関などがひもづくかたちで構成されています。具体的には総会、安全保障理事会(安保理)、経済社会理事会、事務局、国際司法裁判所、信託統治理事会の6つが主要機関として、日ごろニュースで耳にするUNICEF(国連児童基金)やWTO(世界貿易機関)、IMF(国際通貨基金)といった各機関が専門機関・関連機関として運営されています。
ただし、信託統治理事会は、1994年に最後の信託統治地域(国連からの信託を受けた国が、国連の監督下で統治を行なっている非独立地域)であったパラオが独立を果たしたため、ほぼ役割を終えています(そのため、主要機関は実質的に5つということもできますが、本記事中では6つとしています)。
国連は第二次大戦中に「連合国」と称された国家連合を母体として発足したものです。本来、6つの主要機関に上下関係はないのですが、発足の背景上、安全保障関連の活動を行なう安保理が最も強い力を有しているといえます。
その中でも、連合国で中心的役割を果たしていたイギリス・フランス・アメリカ・ソ連(現ロシア)・中国の5か国は、安保理の常任理事国として強大な権限を有しています。
安保理の構成と役割
安保理では主に紛争や破壊活動、侵略といった行為に対して経済制裁や軍事制裁などの措置をとるための決議をするほか、国連への加盟希望国の承認も行なっています。先に挙げた常任理事国5か国と任期2年の非常任理事国10か国の計15か国(2017年8月現在)から成立しており、常任理事国だけが有する「拒否権」(後述)を除けば、15か国とも対等な立場にあります。
安保理の決議には法的拘束力があるため、国連加盟国は従わなければなりません。一方、国連総会の決議は法的拘束力がなく、世論の重みや道徳的な権威を表すものでしかありません。さきほど「安保理が主要機関で最も強い力を有する」と書いたのはこうした理由によります。