──「ビットコイン」などの仮想通貨はどうですか?
現在のところ、価値が上がっていくイメージはありますが、なぜ上がったか下がったかを深い洞察とともに説明できる人はほとんどいません。たしかに跳ね上がって億万長者になった人もいるにはいます。いち早くその機会に気が付き、他人より早く参入したというセンスや勇気があったと言えなくはありません。しかし、上がった根拠を説明できなければ、再現性はもたらせない。だから次に同じように稼げるかというと、それは難しいのではないでしょうか。
論理的に考えて、自分なりの判断軸をつくる
根拠と判断軸という点でおすすめするのは、株式投資と不動産投資ですね。
株式投資は、企業の未来に投資します。その企業の戦略や財務状況をもとに潜在的な成長力を調べて、現在と比べてどうか、株価が上がるかどうかを判断してその未来を買う。それはつまり、その企業の本質的な価値を推し量るということ。しかしそのためには、事業環境など様々な材料を検討し、論理的に考えて、「自分なりの判断軸」を持つ必要があります。
株式投資を通じて論理的思考や判断軸をつくることに慣れてくると、ビジネスやプライベートでの投資判断や、先々の予想を立てたりするときにも役に立つはずです。
不動産投資は、結婚相手を選ぶのに近いというとわかりやすいでしょうか。その物件は世界に1つしかないし、収益性や資産価値からみて、20年30年と付き合っていけるかを判断する行為ですから、見た目や雰囲気など、一時の情動で選んでしまうと失敗してしまいかねない。
だからこそ、不動産投資も論理的に考える訓練になります。毎月の家賃収入とローンの返済額から差額を計算して、さまざまな材料をもとに収益性を評価する。現在だけでなく、10年後の家賃がいくらになるかも考えて、収支を割り出す必要がある。おそらくお金を借りることになるでしょうが、自己満足のための借金ではなく、将来の収入源を確保してハッピーになるための借金ですから、「先行投資」にあたります。
投資の大前提は「自己責任」です。そのためには勉強もして知識を蓄えて、論理的思考によって根拠と判断軸を明確に持つこと。そのうえで積極的に向き合ったら、自然とお金は寄ってくるのではないでしょうか。
午堂登紀雄氏プロフィール
1971年岡山県生まれ。中央大学経済学部卒。米国公認会計士。大学卒業後、東京都内の会計事務所にて企業の税務・会計支援業務に従事。大手流通企業のマーケティング部門を経て、世界的な戦略系経営コンサルティングファームであるアーサー・D・リトルで経営コンサルタントとして活躍。2006年、株式会社プレミアム・インベストメント&パートナーズを設立。現在は不動産投資コンサルティングを手がけるかたわら、資産運用やビジネススキルに関するセミナー、講演で活躍。『捨てるべき40の「悪い」習慣』(日本実業出版社)など著書多数。