本書を手にとったあなたは、きっと「いい人」なのだと思います。
ここで言う「いい人」とは、他人に嫌われないよう、万人に好かれるように行動する人です。もちろんそれは誰でも持っている自然な欲求と行動であり、人から嫌われないことは平穏な生活を送るうえでも大切なことです。
しかし、その欲求が強すぎると、逆に自分の人生を追い詰める、そんな生き方になってしまいます。(本書、まえがきより)
こうした書き出しから始まるのが、『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(午堂登紀雄:著/日本実業出版社:刊)です。
昨年末の発売から売れ続け、読者のみなさまから「頑張りすぎていたことに、気づきました」「肩の力を抜いてラクに生きる方法がわかった」「すぐにいい人をやめることはできないけれど、自分を変えるきっかけになりました」といった感想をいただいています。
「どんな人がこの書籍を手にとってくれているのだろう?」「もしかして、いい人でいることに疲れている人って多いの?」こんな疑問をもった私は実際に書店へ足を運び、お話をうかがってきました! (文:日本実業出版社 桑田)
地元に愛される書店が赤羽にはあります。
平日の昼間、フロア全体に思い思いに本を選ぶお客様が発する心地よいざわめきが広がっていた文教堂書店赤羽店。
今回、同店のビジネス書担当・内田良憲さんにお話をうかがいました。
―平日でもたくさんのお客様がいらっしゃいますが、客層はどのような感じでしょうか?
全体的に年齢層が高めです。ただし、休日にはファミリー層や学生さんも増えますし、ビジネス書フロアは比較的若い人が多いですね。
また、もともと地元のお客様が多い店ではありますが、最近はテレビで赤羽という街が紹介されることが増えて、ある意味ミーハーなお客様もいらっしゃいます(笑)。そんなお客様にも喜んでいただけるような、この街の魅力を特集した雑誌や本なども展開しています。
―なるほど。赤羽という街の面白さに惹かれていらっしゃるお客様も多そうですね。やっぱり、テレビは影響力がありますね。内田さんはビジネス書を担当されて長いんですか?
13年ぐらいですね。途中、他ジャンルの担当になっていた時期もありましたが、もともとバイト時代にビジネス書を手伝い始めて、そのまま今に至った感じです。
―じゃあ、もうビジネス書のことはなんでも知ってますね!
そんなことないですよ(笑)。店の中にずっと居ると、どうしても視野が狭くなってしまいます。なので、色々なお店を回られている出版社の営業の方の情報を、頼みにしています。売れないと思っていた書籍も、提案やアドバイスをいただき、売り方を変えてみると売れ出したということもよくあります。
「いい人をやめる」というワードが手に取らせるのかも
―弊社の書籍『「いい人」をやめれば人生はうまくいく』(以下、『いい人』)を今、大きく展開してくださっていますね。売行きはどうですか?
売行きはいいですよ。20~40代の幅広い年代の方が買われているようです。この本を求めて来たというよりも、ぶらぶらと店内をみて、ふとタイトルに心惹かれて手にとった、というお客さんが多いように感じます。バリバリの仕事モードではなく、少しオフになっているときに気になる書籍なのかもしれません。
私も少し読ませていただいたのですが、目次が特徴的ですよね。たとえば「『愛想笑い』をやめられない人は○○、やめられた人は○○」というように、やめられない人とやめられた人を対比し、生き方がどう変わるのかを含めて書かれています。他にも似たようなテーマの本はあると思うのですが、その部分が他の本とは違うなと思いました。
また、僕自身はそれほどいい人ではないですが(笑)、お金に関しての章が面白かったです。人付き合いだけではなく、お金との付き合い方にも「いい人」をやめることが関係してくるというのが新しいですよね。章ごとに人間関係・対話・常識・お金・恋愛などにテーマが分かれていて、幅広く言及されているなと感じました。
この手のテーマって、心理学の方に流れてしまいがちなんですが、きちんとビジネスパーソンに向けて書かれているので、迷うことなくビジネス書の棚に置けました。