──この展示によって、来館者に何を伝えたいですか?
ビジネスパーソンの皆さんは、今、すごく忙しいですよね。生産性の向上や「働き方改革」が叫ばれる中で、短時間で成果を出すことを求められているのではないでしょうか。
そんな環境にいると、皆さん「集中力を高めなければ」と考えると思うんです。でも、つねに集中し続けることはできないわけで、リラックスする時間もないと壊れてしまう。
だから、集中するときはする、緩めるときは緩めるという、メリハリある働き方のスタイルを自分でつくっていかなきゃいけないのかな、と思います。自分自身は、つい、だらだらと仕事をしてしまいがちですが。
「姿勢を意識する」とか「身の回りの音に耳を澄ます」など、著者がこの本ですすめる「練習」は、今、身近にあるものや自分の感情に意識を向けてみよう、それによって、自分をコントロールすることができるようになる、というものです。きっとこの方法は、集中して仕事に向かわなければならないときにも役立つのではないでしょうか。
展示のタイトルは『「今、ここ」に意識を向ける ~より深い「集中」を身につけるために~』としました。前のめりにならずに、自然に集中できるようになる1つの方法として、提案しました。
反対のものをつなげて新しい提案をしていきたい
──今後はどんな展示をお考えですか?
当ライブラリーのメンバーは30代から40代のビジネスパーソンが中心です。収める書籍は、選書を担当するお二人の先生が、メンバーの皆さんに今読んでほしい本、時代や世の中を象徴的にあらわしている本を選んでくださっています。その先生方と一緒に、トレンドや季節的な要素を考慮して展示を企画しています。
今、構想しているのが「人工知能」。どこか、ロボットを貸してくれるところがないか調査中です(笑)。当ライブラリーで開催する人工知能関連のセミナーも増えていますし。現状どこまできているかと、この先どうなるかということを提示したいですね。
──たくさんのビジネス書に触れるなかで、「人工知能」以外に他にどんなトレンドに注目していますか?
テーマとしては「フィンテック」や投資ものなど金融関連本が多くなっているようで、個人的にも興味があります。また、自動運転車や無人レジ、ドローンなどは、ビジネスのしくみを大きく変えそうで面白いですね。政治的、社会的な話題としては、「ベーシックインカム」への関心は相変わらず高いようです。
また、これからはいままで考えられなかった新しい職業が生まれてくると思うので、それもウォッチしていきたいですね。
ただ一方で、トレンドばかりではなくその反動も必ずあると思っています。「人工知能」は注目されていますが、よりナチュラルなもの、人間的なものへの関心も高まっている。そのような、正反対なものをつなげたりして、新しい提案をしていきたいですね。
──ミックスが大事なんですね。
たとえば、関心が人工知能やITに偏っている人よりも、そうした知識を持ちながらもアートや音楽にも造詣が深い人の方が、これからは有利になるかもしれない、と感じています。
当ライブラリーのメンバーの皆さんは、セミナーやメンバー同士のイベントなど、さまざまな形で交流しています。きっとそこから、新しいビジネスのアイデアが生まれているはずです。ライブラリーとしても、今回のような展示やイベントの企画を通して、いろいろな価値観を提供したいと考えています。
六本木ヒルズライブラリー
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