「T/Bメソッド」は決算書を読み解く助けにもなる
―高下さんが執筆された、前作『図解 決算書を読みこなして経営分析ができる本』(以下、『決算書』)は、累計で10万部となる大ロングセラーですよね。なぜ、ここまで読まれていると思われますか?
今回の新刊と同様に、『決算書』も「T/Bメソッド」のコンセプトでスタートしています。ただ、できあがった決算書を読みましょうということではなく、「T/Bメソッド」で「仕訳と簿記と決算のつながり」を理解するという内容が読者の方に支持されたのかもしれません。
また、キャッシュフローについてもふれたので、左右の位置の重要性をイメージできる点もお役にたてたのかもしれませんね。キャッシュフローを理解するためには、やはり「T/Bメソッド」で「キャッシュは左、利益は右」というイメージが重要ですので。また連結財務諸表も取りあげていますので、決算書の基本知識をこの本でひと通り学んでいただけるのではと思います。
決算書を読み解くことができれば、数字の背景にある“人・もの・お金”の動きの理解にもつながります。経営の実態を把握する、同業者間の業績比較をする、自社の経営改善のためのヒントをつかむ……など、いろいろな局面で役に立つはずです。
―簿記は、最終的に決算書や経営分析につながるというすごいシステム、ということが、もっと広まると良いですよね。『決算書』を読んだ読者の方から何か反応はありましたか?
直接はないのですが、ある方が書店さんで「決算書の読み方の本のオススメ」を聞いたら、書店員の方が私の本を薦めてくださったそうです。それを聞いて嬉しかったですね。
また、書籍をつかったセミナーで、参加者の方が「やっと理解できました」と満足して帰っていかれる姿をみるとホッとします。「後輩にも薦めたい」とおっしゃってくださる参加者の方もいらっしゃいます。
―これから簿記を勉強される読者の方へ、エールをお願いします。
仕訳と簿記や決算書を、ぜひ楽しくスムーズに学ぶ、あるいは学び直していただきたいと思います。ビジネスパーソンから個人事業主まで、幅広く必要とされる知識なので、簿記はきっとみなさんの助けとなるはずです。どうぞ、挫けることなく取り組んでみてください。
また、「T/Bメソッド」で決算書作成までの流れをつかんでいただいたら、次は決算書を読むことにもチャレンジしてみてください!
私の2点の書籍、『簿記のしくみが一番やさしくわかる本』と『最新版 図解 決算書を読みこなして経営分析ができる本』が、みなさんの新たな学びの助けとなれば嬉しいです。
-プロフィール-
高下淳子(こうげ じゅんこ)
税理士。米国税理士。CFP。外資系コンサルティング会社(監査法人)に勤務ののち独立開業。現在、税務会計顧問業、経営コンサルティング業のほか、各地の金融機関、シンクタンク等の講演・セミナー講師、企業内研修の企画実施などで活躍中。講演テーマは広く、経理担当者、経営幹部、新入社員、後継経営者、営業担当者などを対象とした、明快かつ、わかりやすい実践的講義には定評がある。
主な著書に『今までで一番やさしい法人税申告書のしくみとポイントがわかる本』『図解 決算書を読みこなして経営分析ができる本』(以上、日本実業出版社)、『とにかく、みんなで考えよう! 日本の借金 わが家の税金 わたしの年金』『「経理のしごと」がわかる本』『やさしい法人税申告入門』(以上、中央経済社)などがある。