社内会議、取引先へのプレゼンや報告など、多くのビジネスシーンで資料は必要とされ、新人や若手がその作成を任されることがよくあります。
「資料をつくるのは苦手で……」と敬遠する若手社員も多いですが、資料作成を任されるということはチャンスでもあります。
なぜなら、あなたがつくった資料がプレゼンの決定打になるかもしれませんし、社内会議の短縮に一役買うこともあるからです。良い資料をつくることができれば、上司からの評価もあがるでしょう。
このように、「資料作成」は立派なビジネスパーソンとして活躍するため、新人のうちに必ず覚えておきたいスキルの一つです。そこで、春から新社会人になる学生、そして「なかなか仕事がうまくいかない」と悩んでいる若手社員に向けて、『できる人が絶対やらない資料の作り方』(清水久三子:著)より、「資料作成」のポイントをみてみましょう。
資料は「伝える」だけではなく、「行動してもらう」ためにつくる
「資料作成は総合格闘技」
これは、外資系コンサルティングファームで、人材育成部門のリーダーとして5000人以上の指導を経験してきた清水久三子さんの言葉です。
ビジネスの場面における「資料」には、必要な情報の取捨選択や情報を論理的にまとめるロジカル・シンキング、作成から提出までのタイムマネジメントなど、想像以上に多岐にわたるスキルが必要とされます。
つまり「まとまっていればいい」というような学生時代のノリで取りかかると、資料を提出する相手の期待や、その資料を使うシーンにふさわしいものにならず、せっかくつくった資料が活用されることなく「紙くず同然」となってしまう可能性があるのです。
では、ビジネスシーンで求められる、良い資料とは一体どんなものでしょうか?
わかりやすい ――確かに大切です。
要旨が伝わる ――それも重要です。
しかし、情報が伝わっただけで、その先の相手のアクションにつながらなければ、その資料は意味がなかったといえます。
そう考えると、「良い資料」の定義は以下のようになります。
「誰に、どんな行動をとってもらいたいのか」が明確に伝わる資料
そう、ゴールは、資料を読んだ相手に「行動してもらうこと」です。
商品開発の企画書であれば、決裁者にその商品開発を進めることについて、GOサインをもらうことがゴールです。また、部署の経費削減の提案書であれば、メンバーに提案内容を実行してもらうことがゴールになります。
確かに「伝わること」も重要ですが、それだけでは不十分です。つくり手が意図した通りに、相手がアクションを起こして、はじめて「良い資料」と評価されることになるのです。このゴールを見失うと、なぜつくられたのかわからない、とんちんかんな資料になってしまいます。
相手の「行動」「理解」「感情」を書き出してみよう
でも、人を動かすって結構大変じゃない?
そんな声が聞こえてきそうです。いきなり「取引先を動かす資料をつくれ!」と言われても、難しいですよね。
そこで重要になるのが、こちらの意図した通りに相手に行動してもらうために、その資料の「目的」を整理してから作成をはじめることです。資料の「目的」を明確にするためには、以下のように考えるとわかりやすいと清水さんはいいます。
1、相手にどんな行動をとってもらいたいのか(行動)
2、そのために相手に何を理解してもらいたいのか(理解)
3、そのために相手をどのような心理状態にすべきか(感情)
(本書、12ページより)