鉄則2・自分と反対の意見に耳を傾ける
自分のポジションに対する反対意見を聞くメリットとして、堀氏は次の2点を挙げています。
- トレード時の判断に見落としがなかったかどうかがわかる
- 反対意見に大したものがない場合、自分の判断に対する自信につながる
たとえば、自分が買った銘柄が急落したときも事前にこうした意見も目にしておけば、悪材料による売りなのか、売り仕掛けなのかを冷静に判断する余地が生まれます。結果的に、狼狽売りで損切りをしなくても済むでしょう。
実践2・損切りは必要なときだけ行う
損失が致命的なレベルに達する前に行なう「損切り」は、市場で生き残るために必須の行為です。そのために使われるのが逆指値注文(またはストップロスオーダー)ですが、再三書いている通り、大口投資家は利ザヤを稼ぐために、値を大きく動かす仕掛けをしばしば行ってきます(いわゆる「逆指値狩り」「ストップ狩り」などと呼ばれる行為。具体的にはこちらの記事を参照。FXで説明されていますが、株でも理屈は同じです)。
多くのトレーダーは「ポジションを取ったところから○%」と、損切りのラインを機械的に置くことが多いですが、こうした無条件で機械的に行われる損切りをしていては資金が減っていく一方です(ただし、証拠金維持率が関わってくる信用取引は別)。堀氏は損切りについてこのように説いています。
せっかく「実践1」で銘柄を買った理由を書いているわけですから、買った理由が崩れた時は売る、崩れていない時は売らないということを徹底したほうが、トータルでは損をせずに済みます。
そもそも損切りが必要だと言われてきた理由は、下がり続ける株を持ち続けても資産を減らすだけなので、株価が下がった銘柄=今後も株価が下がる銘柄であることが多いという前提から、損切りしたほうが資産を減らさずに済むというものです。それより、上がる銘柄に再投資したほうがよい、という考え方です。
その理論からすれば、一時的に株価が落ちたけれど、今後は回復する銘柄であれば持ち続けていてよいことになります。そして、買った理由が1つも崩れていない銘柄は今後上がる可能性が高い株と言えますので、損切りする必要はないわけです。
(本書 P.179-180より)
実践5・有望な株がない時は現金を持ち続ける
本記事中では触れていませんが、前ページの図に書いてある通りポジションを持つときには、自分の中で確固たる理由をもってトレードすることが肝要です。逆にいえば「なんとなくで買った株は、大口の仕掛けのいいカモ」ということでもあります。
では、自信をもってポジションを持てるような銘柄がないときはどうすればいいのでしょうか。
答えは「待つ」です。相場格言に「休むも相場」というものがありますが、個人投資家は冷静さを失ったら負けです。手持ちの銘柄がないとついつい寂しくなってきますが、そうした理由でポジションを持つと前述の通り大口のカモにされるのがオチです。
ヘッジファンドをはじめとする大口機関投資家は、事業として投資を行っているので稼がねばならないノルマが存在します。しかし、個人投資家にはそのようなノルマは存在しません。キャッシュを温存し、ここぞというときに備えるのも大事なトレード法なのです。
最近はコンピュータやAIによるHFT(High frequency trading、高頻度取引)の存在もあり、一概にそうとは言えないところもでてきていますが、市場取引の基本は人対人の心理戦です。ファンダメンタル/テクニカル分析の知識や豊富な資金を持つ方が有利なのは間違いないですが、こうした心構えを持ってさえいれば、そのようなハンデを覆すことも十分に可能です。ぜひ、あなたのトレードに役立ててみてください。