ストレートネックの最も大きな原因とされているのが、長時間のデスクワークです。ややうつむき加減でPCを見続けるなどの同じ姿勢を続けると、首から肩周辺の筋肉が凝り固まって、頭痛やめまい、手のしびれなどさまざまな症状があらわれます。重症化すると頸椎ヘルニアや不眠症、そしてうつ病の発症率が高まるとも言われています。

3.「頸肩腕症候群」──“違和感がある”で済ませては危険

首や肩、腕に痛みや痺れがあるにもかかわらず検査で異常が見当たらないとき、「頸肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)」と診断されます。この診断名をはじめて目にする人も多いのではないでしょうか。

こうした症状はデスクワーカーによく見られるものですが、放置すると重症化し、その部分の感覚が鈍くなったり運動障害が起こったりします。また、二次的症状として集中力の低下や倦怠感、抑うつ症状を招くこともあります。

長時間のデスクワークによる座り過ぎは、体内の血流量を減少させ、疲労性物質を蓄積させます。これが頸肩腕症候群の原因のひとつです。非常にゆっくり進行するので、気づいたら重症になっていた、というケースも多いので注意が必要です。

以上の3つは「座り過ぎ」によって起こる代表的な症状ですが、このほかにも腰痛や足のしびれ、むくみ、高血圧、自律神経失調症などを引き起こすこともあります。

(以上、同書18~28ページより)

オフィスでできる「猫背」予防・改善ストレッチ法

このような症状の予防のためには、まずは日常的な姿勢に注意しましょう。デスクでPCに向かうときには、下のような姿勢をとることが理想です。

22ページより
『本当は怖いデスクワーク』22ページより

 その上で、デスクワークや座り過ぎによってあらわれる様々な健康上のリスクを減らすには、やはり体を動かすことが一番です。以下に、「猫背」を予防・改善するストレッチを同書から紹介します。

「猫背」予防・改善ストレッチ

猫背によって起こる様々な症状はすでに述べましたが、「胸筋の凝り」も付け加えましょう。猫背によって肩が前に出ていると、胸筋が収縮して凝りが生じるのです。この胸筋を伸ばすようなストレッチが猫背の予防、改善には有効です。

(1)まず背中で両手を組み、掌を下に向けます。そこから胸を大きく広げるイメージで両手を上に引き上げ5秒キープ。3回ほど繰り返しましょう。

134ぺーじより
134ページより

(2)両手でシャツの肩口にある縫い目部分をつまみ、肩甲骨が動いているのを意識しながら肘を後ろにゆっくり10回ほど回します。肩甲骨周辺の筋肉が凝っていると、最初は回しづらいと思いますが、次第にスムーズに動くようになるでしょう。

135ページより
135ページより

『本当は怖いデスクワーク』には、このほかにも座り過ぎが原因で起こる健康リスクや、それを予防、改善するストレッチを等を紹介しています。

同書の著者は、1時間に1度程度はこうしたストレッチで筋肉を動かすことをすすめています。それがさまざまな症状の予防改善に役立つだけでなく、疲れた脳を活性化して集中力を高め、最終的には日々のパフォーマンスの向上につながるからです。

ぜひ日常的に取り入れて、長時間デスクワークの危険性から身体を守りましょう。