正しいマーケティングが行われなければ、大きな成果を得ることはできない。このことは、現場にいる多くのビジネスパーソンが感じているはずです。

ならば、効果的なマーケティング活動を進めるために、その意思決定をサポートする「マーケティング・リサーチ」にもっと目を向けたほうがよさそうです。

『マーケティング・リサーチの基本』(岸川茂編著・JMRX著)はリサーチのノウハウを網羅した、教科書的な一冊であるとともに、最先端のリサーチ方法もカバーしています。

ここでは、「マーケティング・リサーチ」とはそもそも一体何なのかという説明から、これからビジネスを変えると期待される最新のリサーチ方法を取り上げます。

マーケティング活動をサポートする「マーケティング・リサーチ」

現在のビジネスの成否は「マーケティング」がカギを握っていると言っても過言ではありません。

マーケティング活動は、「売れる商品を作ること」(商品開発)と「商品の販売を促進すること」(販売マーケティング)の2つに大きく分かれますが、精度を高めるためには「マーケティング・リサーチ」が必要不可欠です。

マーケティング・リサーチとは、ビジネスにおける課題を発見し、解決するための調査のこと。有効なマーケティング活動を行うための意思決定をサポートするうえで、役立つ情報を提供します。

最近注目されている「ビッグデータ」は、社会の動きや人々の嗜好を、膨大なデータによって可視化します。IT技術の革新によって、これまで集めることも、扱うこともできなかったデータにアクセスできるようになり、ビジネスにおけるマーケティング活動に幅広く応用できるようになりました。

売れる商品を市場に出すには、顧客が一体どんな人たちなのか、市場の動向はどう変化しているのかを見極める必要があります。SNSなどの普及によりユーザーの意見発信の場が増え、「消費者が賢くなっている」と言われる今、マーケティング活動の前段階となるリサーチ(調査)に注目が集まり、その手法も大きく変わりつつあるのです。

日本では不要論が根強い「マーケティング・リサーチ」

ところが、こと日本においては、この「マーケティング・リサーチ」に対する不要論が根強く存在しています。

例えば、日本にもファンが多いスティーブ・ジョブズが「マーケティング・リサーチには頼らない」と言ったという話もありますし、経験則に基づいてビジネスを展開する経営者や優秀なビジネスパーソンも少なくありません。

また、データを集めて分析し、最適な形にまとめて提案をするところまでを考えれば、専門知識が必要なうえに、それなりのコストがかかってしまいます。

いくらリサーチ結果にアクセスできるようになっても、分析が未熟であれば最適なアドバイスをすることはできません。もし、マーケティング活動が失敗に終わり、売上が不調に陥ってしまえば、最初に予算をカットされる場所は「マーケティング・リサーチ」になるでしょう。