連載(全6回予定)「仏の上司・鬼の上司 彼らが教えてくれたこと」では、12年間経営コンサルティングに従事し、8000人以上のビジネスパーソンの生の声を聞いてきた安達裕哉さんからお聞きした、上司から学んだ「働く」ということについてのヒントを紹介します。
第2回は、新入社員が陥りがちな、仕事の理想と現実のギャップについてお聞きしました。
「この仕事がなんの役に立つの?」「思っていた仕事と違う」
働き始めたばかりの、ビジネスパーソンからよく聞かれる言葉ですが、上司には上司の言い分があるようで――。
(文責:日本実業出版社)
「やりたいと思っていた仕事と違う」はなぜ起きる?
仕事をしていると大なり小なり、悩みや不満が出てくるものです。
特に、新入社員からよく聞かれるのが、「やりたいと思っていた仕事と違う」という不満。入社前に自分の思い描いていた理想の働き方と、現実の仕事とのズレによるギャップから生じます。
このような不満を抱えたままでは、「新入社員は3年以内で3割辞める」ともいわれるような、早期退職につながってしまいます。
このギャップ、ほとんどのビジネスパーソンが、一度は感じたことがあるのではないでしょうか。これはただ単に、希望の職に就けなかったという単純な理由だけではなく希望通りの職に就くことができた場合にも起こっているようです。
実際に、私がコンサルタントとして働いていたころ、常に感じていたのは「この仕事は思っていたよりも地味だな」ということでした。
たとえば、私が起業する直前に在籍していた会社は中小企業の経営者向けのサービスを提供していましたが、新人はコンサルタントとして働くにあたり、仕事を理解するために、最初は営業、しかもテレアポ営業を経験することを義務づけられていました。
なぜなら、コンサルティングの対象となる中小企業は、社長自身が営業マンだったり、営業経験者であったりすることが大多数だからです。
まずはそのような社長の気持ちを理解するために、テレアポ営業を経験させるという方針をとっていました。
その他にも、社長と飲みに行ったり、手書きで手紙を書いたりするなど……、とても泥臭くて地味な仕事でした。
そのため、「これがコンサルタントの仕事? やりたいと思っていた仕事と違う」と、耐えられなくなって会社を辞めてしまう新人は少なくありませんでした。