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『「一流の存在感」がある人の気づかいのルール』(丸山ゆ利絵 著)

「彼は非常によくやってくれるので助かっています。僕よりカンが利くので頼りっぱなしですよ」

ある有名経営者は部下をこう紹介しました。自分のことはすこしだけ謙遜しても、身内でも誰でも他人をけなすことはしないのです。紹介された人も、「私は評価されているんだ」とセルフイメージがあがるのと同時に、自覚と責任感が出てきます。

このような気づかいは、誰であっても一人の人間として尊重する気持ちを持っているからできるものです。本来は誰でも持ち合わせているそのような気持ちを、部下や身内を紹介するときに表現してみましょう。

人望の厚い上司の叱り方

丸山さんがともに仕事をした上司のなかでも、とくに社内外での評判が高かった男性上司がいます。丸山さんはある日、その上司から「ちょっといいか? 相談したいことがある」と別室に呼ばれたのですが、その「相談」の内容は、丸山さんの仕事での不注意を叱るものでした。

しかしその上司は、「叱る」といっても声を荒げるわけでも、ひどく責めるわけでもありませんでした。一貫して抑制的なトーンで、「どう思う?」「どうすべきだったと思う?」と丸山さんに考えさせ、説明させたのです。そのようなやりとりをしているうちに、丸山さんは自分に配慮が足りなかったことに気づき、「わかりました。次からはこうします。申し訳ありませんでした」と素直に言うことができたそうです。

この上司に見られるように、相手を叱るときは「声を荒げない」「相手を非難しない」「相手に恥をかかせない」ことが大事です。激高した態度は相手の心を閉じさせ、強い反発につながるなど、マイナス効果しかありません。部下を叱るときは声と言動のトーンを抑えて、相手が受け入れる余地をつくってあげましょう。

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一流の人たちの気づかいは天性の性格によるものではない、と丸山さんは言います。「性格」を変えようとするのではなく「行動」を変えれば、気づかいは身につけられるものなのです。

自分を高めたい、リーダーとしての自信を持ちたい人は、相手への「気づかい」を意識してみるといいかもしれません。