寝ている要介護者を起こすとき、「ベッドを高くすると介助者の腰に負担をかけにくい」と言われています。確かに、ベッドが高いと腰をかがめなくても起こし上げやすくなります。しかし、腰の負担をさらに軽減させるには、要介護者の位置が重要になってきます。

介助者と要介護者の距離によっても、腰への負担は変わってくる(写真は本書p169より)
介助者と要介護者の距離によっても、腰への負担は変わってくる(写真は本書p169より)

上の写真のように、要介護者がベッドの中央に寝ていると、結局前傾姿勢をとりながら抱きかかえることになります。前ページの最初に述べたように「前傾姿勢で何かを持ち上げる」という動作は、非常に腰に負担をかけます。

このようなときは、要介護者を一度手前に引き寄せてください。そうすることで、前かがみにならなくて済み、腰の負担も軽減することができます。

また、ベッドの上での介助では「片膝をつく」方法も推奨されています。しかし、いくら片膝をついていても、腰の負担軽減ができていない場合があります。下図のように、片膝をついたとき腰とかかとが離れているようだと、結局上体が前かがみになってしまいます。

片膝をついても、腰の負担軽減ができていない例(本書p172より、一部追記)
片膝をついても、腰の負担軽減ができていない例(本書p172より、一部追記)

ですので、ベッドの上で片膝をつく場合は要介護者の許可を取ったうえで、前かがみになったり、脊椎のねじれが起きないような姿勢をとってください。一例としては、下図のように体ごと半分乗り上げるような形になります。

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腰の負担を軽減できる膝の付き方(本書p172より)

腰痛は「爆弾」と例えられることからわかるように、非常につらく苦しいものです。そのような目に合わないためにも、本記事の内容をぜひ参考にしてください。