「給与計算事務は国の規制が厳しい、デリケートな業務です。その点、JD Edwardsの給与計算アプリケーションは、こうした規制をクリアしつつも御社のビジネス要件に柔軟に対応できるよう設計されています。

その狙いは、このシステムよって大切なデータの整合性を失わずに、事業規模の拡大やビジネス要件と福利厚生の改善を通して御社に発展していただくことです。それで、本日はどのようなご相談でしょうか?」
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短いトークの中にも、「給与計算システム」の特徴とセールスポイントが的確に盛り込まれています。

■状況に応じたさまざまなエレベーターピッチを用意しておく

オラクルのコンサルタントは、エレベーターピッチを複数用意し、状況に応じて使い分けています。

IT業界で働いている以上、技術的な質問にも対応しなければなりません。時には自分の専門外の質問に出くわすこともあるでしょう。そんなとき、ついあわててしまったり、中途半端な答えを返してしまいがちですが、それではクライアントからの信頼を得られません。以下のように落ち着いて返すために、日頃から準備しておくのです。

「申し訳ありませんが、その製品は私の専門外ですのでわかりかねます。わが社では専門分野のエキスパートの養成に力を入れているものですから。給与業務に関しては私でお役に立てますが、そのご質問に関しては、担当のAを紹介させていただいてもよろしいでしょうか?

この者からお電話を差し上げるよう手配いたしますので、お電話番号を教えていただけますか?  私の名刺をお渡ししておきますね」
(同書30ページより)

■エレベーターピッチは、完璧に暗記できるまで練習を重ねる

どんな時、どんな状況でもスムーズに話すことができるように練習に練習を重ね、できるだけ暗記します。しどろもどろでは、相手に誠実な印象を与えることができないからです。

■自分のスキルが上がったら、エレベーターピッチも更新する

社内での肩書や主要な業務内容が変わったら、速やかにエレベーターピッチも更新します。

また著者は、自社の製品やプロジェクトの方法論について、つねに自信があるように振る舞うことも求めています。自社製品の悪口を言ったり、自信がなさそうに売り込む人間の説明を、クライアントが信じるわけがないからです。

クライアントの質問を最後まで聞く「傾聴の技術」

オラクルのコンサルタントには、「傾聴の技術」を十分に身につけることが求められています。傾聴を怠ると、ミーティングにおいてクライアントの質問の趣旨を誤解したり、間違った思い込みからポイントを外した返答をすることになり、スムーズなコミュニケーションの妨げになります。

「傾聴」について留意すべきポイントを挙げましょう。