子どもだけでなく、ママだって認められたい!
―子どもの成長もそうですが、親としての自分を他の親と比べてしまい苦しむお母さんも多いと思います。比べてしまうのは、止められないのでしょうか?
簡単には止められないです。そもそも、学校教育自体が成績で評価されますし、その教育のもとで育った人たちが親になるんです。そうなると、やはり比べるという行為からは逃れられません。他者と比べることによって、自分の幸せを確認する。それが人間の逃れられない性(さが)、ある種の「比べる病」ともいえるかもしれません。
――では完全に比べなくなることはできないにしても、比べてしまうことに悩んでいるお母さんにアドバイスをいただけませんか?
間違いなく言えることは、比べることは百害あって一利なしということです。他の子と比べられることによって「どうせ自分はダメな人間なんだ……」と自信のない大人に育ってしまった後に、小さな頃に追い詰めなければ良かったと後悔しても子育てのやり直しはできません。
さらに今はFacebookなどのSNSで、否応なしにたくさんの情報が入ってきますが、それに惑わされず目の前の子どもの、日々の成長を見てあげてください。お母さんもママ友がお出かけした楽しそうな写真や幸せそうな子どもたちとの写真を見ていると、「自分なんて……」と思うかもしれませんが、そんなことは気にせず、自分自身の子育てを認めてあげてください。
――読者の方へのメッセージをどうぞ
この書籍を開くと、まず、「こんな子育てしていませんか?」という言葉からはじまります。本人が納得していなくても、強引に自分が言わせたいことを言わせる。念仏のごとく「ちゃんとしなさい」「はやくしなさい」。叱るのは口先だけで、ママが手出ししてしまう……などなど。
世のお母さんが子育て中にしがちな行動や、お悩みのほとんどを収録しています。さらに、2人のお子様を子育て中のマンガ家のあべゆみこさんに、それぞれのQ&Aに対応した素敵なマンガを描いていただき、忙しくて時間がないママ、本を読むのが苦手なママも「テキトー母さん」流子育てのポイントがパッとつかめる1冊となっています。
前作を読んだお母さんからは、「テキトー」と言いながらも、けっこうきっちりしたことが書いてある、というご指摘もいただいていますが(笑)。「ここだけ押さえたら、あとは“いいかげん”な意味のほうのテキトーでいい。完璧なママにならず、完璧な子育てをしなくていいのよ」というメッセージを込めています。
たくさんの育児書を読んで頑張りすぎているお母さんにとっては、きっとこんなに「テキトー」で大丈夫かな? なんて感じるかもしれませんが、本書を読んで「あ、頑張らずに今のままでいいんだ」と思ってもらってえれば嬉しいです。テキトー母さんになると、子どもも親も幸せになれる。そう私は信じています。
立石美津子(たていし みつこ)
1961年大阪市生まれ。聖心女子大学卒。幼稚園・小学校・特別支援学校教諭免許を取得後、故・石井勲氏のもと、幼稚園・保育園に漢字教育を普及する。1995年、株式会社パワーキッズ(教室名 エンピツらんど)を創業。現在は著者、講演家として活動。自らは自閉症児を育てる母親。30年間の教育現場での経験をもとにした、机上の空論ではない講演が人気。著書に『1人でできる子が育つ「テキトー母さん」のすすめ』(日本実業出版社)、『小学校に入る前に親がやってはいけない115のこと』(KADOKAWA)、『読み書き算数ができる子にするために親がやってはいけない104のこと』(中経出版)、『心と頭がすくすく育つ読み聞かせ』(あさ出版)、『「はずれ先生」にあたったとき読む本』(青春出版社)がある。