1. あらかじめ全体の時間を各ステップに割り当てて、管理する

2. 想定外の時間が必要になったときは、時間を再調整する

話し合う事柄が明確になっている会議や、やるべきことが明確になっているプロジェクトでは、時間配分が当たり前のことかもしれませんが、問題解決になると意外と時間配分のことを忘れがちになるので、十分に注意してください。

問題解決では、想定通りに進むこと自体がまれなのであらかじめ時間に余裕をもたせておくことと、スケジュール・内容などを変更した際の関係者への影響も、考慮することが大切です。

問題解決には、問題を「絶対に解決する!」という「志」だけでなく、そのために頭を最大限に働かせる「考」が重要です。

冷静に全体を見渡しながら、時間配分に意識を向け続けましょう。

原則3.「話を横道にそらさない」

各ステップに配分された時間を超過してしまう大きな原因は「ムダ」です。時間が足りなくなる原因として、想定外の事情もありますが、「ムダな時間」も無視できない存在です。

ムダな時間とは、問題解決の本質から外れた時間のことで、たとえば次のようなことです。

・「 問題提起」の際、意見の違いからケンカになった

・「 原因分析」の際、気になる他のデータの分析をしてしまった

・「 解決策立案」の際、たとえ話から雑談が始まった

限られた時間と人手で成果を出すために、こういったムダな時間は徹底的に削減する必要があります。特に会議の場でのムダは、解決までの時間を延ばすだけでなく、そこに参加するメンバーの時間も浪費することになります。

もちろん、上の例においても、そのすべてがムダとは言い切れず、そこから得られるものがあることも事実です。しかし、限られた時間と人手で結果を出すためには、「これは問題解決に必要か」という姿勢を常にもつことが大切です。

繰り返しになりますが、「ゴール志考を身につける」とは、「絶対に解決する!」という「志」をもちながら、冷静に全体を見渡して必要な策を考え続ける「考」、この2つを実践することなのです。

限られた時間と人手で、各ステップに必要な結論を出すためにも、「話を横道にそらさない」を常に念頭におき、プロセスを進めていきましょう。


 
松浦 剛志(まつうら たけし)
東京都町田市出身。1969年9月9日生まれ。株式会社プロセス・ラボ代表取締役。
1993年、京都大学経済学部卒。大学卒業後、東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)企業部・審査部にて融資審査・事業再生などを担当。その後、株式会社グロービス(MBA教育・ベンチャーキャピタル)にてグループ全体のコーポレート業務、アントレピア株式会社(投資ファンド)にて投資先企業の育成・業績モニタリングなどを実施する。2002年、戦略/人事/会計をトータル的に支援するコンサルティングファーム、有限会社ウィルミッツを創業。2006年、業務改善コンサルティングをウィルミッツから分社化し、株式会社プロセス・ラボを創業。現在2社の代表取締役。

中村 一浩(なかむら かずひろ)
神奈川県横浜市出身。1978年3月2日生まれ。上智大学理工学部卒業。事業構想大学院大学修士課程修了。
株式会社ミスミグループ本社、株式会社リクルートホールディングスなどを経て独立。専門領域は人材育成・組織活性、事業開発。企業研修では、累計1000名以上への講義実績。現在注力しているのは「対話」を通じたイノベーションの創出。代表的な取組みとして、長野県小布施町、慶應義塾大学大学院SDMとの共同事業である「小布施インキュベーションキャンプ」がある