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「これってどういうこと?」他の人の意見に興味深々。

一緒にいて楽しいだけが、「友達」?

テーマ2.「どうしたら“本当の友達”はできるのか?」

――「友達」といえば、人間の生き方を考えるうえで避けては通れない事柄のひとつ。「友達」とはいったい何なのか。本書の中でサトルは友達とは「一緒にいて楽しい人」、「自分を成長させるもの」と答えるが、ソクラテスは納得しない(本書、第1章より)。

「大人になると、友達を作るのが難しい」、筆者の周りでよく聞く言葉だが、「本当の友達」とは何なのだろう。いまやSNSで日常を共有することが当たり前となり、「友達」と呼ぶ関係を結ぶことは難しくない。しかし、私たちが本当に求めているのは、そんな不確かな結びつきではないのかもしれない。

「友達が何十人もいる人って嘘っぽい。それって本当の友達じゃない気がする。それだけ、“本当の友達”って貴重な存在(30代、女性)」

「考えに共感できたり、性格の相性がいいなど、自分にとっての心地よさももちろんだけど、自分が相手のために尽くすことが苦ではないと思えるのが、本当の友達だと思う(20代、女性)」

「本の中でも書かれていたのですが、「類は友を呼ぶ」という言葉は本当にその通りで、自分自身が“良い”人でなければ、“良い”友達はできないというのが真理かもしれません(20代、男性)」

筆者もサトルと同じように友達とは、「自分にとって心地よく、一緒にいて楽しい存在」などと、安直に考えていたが、参加者の意見は、より深く真理をついていた。「本当の友達」とは利害と切り離されたもので、自分自身をより良く磨いていけば、自然と出会い友人関係を築くことができる。それはソクラテスとサトルが導き出した答えと重なるものだった。

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テーマごとに、男女で意見の偏りがあるのも面白い。

人は「ないもの」を求めるときに快感を覚える

テーマ3.「モテる人は何が違うのか?」

――合コンで何の成果も得られず、くたびれ儲けに終わったサトル。恋人がほしいと訴えるサトルに、ソクラテスは恋というものは自分に欠けているものに対して向けられる欲求だと説く。だからこそ、相手にとって容易に支配できる存在であるとき、その相手がキミに対して恋心を抱くことはないと言う(本書、第2章より)。

最後のテーマはズバリ「モテ」! みなさん思うことがたくさんあるのか、筆の進みが早く、ふせんの消費量も心なしか多い(笑)。モテるためのヒントは見つかるだろうか?

「わかったら苦労しないですよね(笑)。ただ、モテる人って「モテ」を意識していない気がします。ガツガツしていない(30代、男性)」

「見た目や性格が素敵。自信や余裕があって、頼りがいがある人がモテる気がします。ひと言でいうとオーラがある! 逆にいうと、オーラのある人は、他の人にとって魅力的な要素をもっているといえるかもしれませんね(20代、女性)」

「外見的な魅力は、“モテ”の要素としてわかりやすいかもしれないけれど、結局のところ小細工なしに内面が素晴らしい人が、多くの人を惹きつける気がします。モテる人は老若男女問わず、モテている(20代、女性)」

最初は、顔や服装など「外見」がモテるための要素としてあがったが、それは一時的な要素であり、「内面」によって人は惹きつけられるという意見で一致した。究極的には、本当に大切な人にモテることがゴールなのだ。

仮にキミが好意をもった人に対してだけ親切で、マメな人間のフリをしているだけだったとしたら、そういう嘘はいつかきっと見破られるはずだ。当然、そういうキミが本気で誰かに恋されることもないだろう。だって、さっきも言ったことだけど、いったい誰が自分にゴマをする人を恋い焦がれたりするだろうか(本書、96ページより)

善き人を目指すことが、幸せにつながる

3つのテーマに関して意見を交わした後、導き出した答えは「仕事・友達・恋愛」を追い求める先にあるゴールは“幸せになりたい”ということ。個人個人、そ れぞれにあった、“幸せ”の形を追求するためには、まず自分自身を知る。その上で、本文中でソクラテスが何度も説く「私心なしで『善く生きること』」を目指していくことで、「良い」仕事・友達・恋愛が自分に返ってくるのだ。

最初は静かだった会場も、終盤になると「わかるなぁ」「ソクラテスが言っているのは……」と、のびのびと意見が交わされていた。それぞれの意見が、最終的に大きく1つに形作られるさまは、私たちの目の前に新たな道があらわれたかのようだった。

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最後はテーブルごとの代表者が発表。全員の意見を共有した。

今回、初めて読書会に参加してみて感じたことは、読書会の最大の魅力は、本来なら交じり合うことのなかった人々が、「本」を介して、それぞれの考え方の違いを知り、議論する場を共有できること。また、抱えていた悩みが自分だけのものではないことに気づけること。ソクラテスのおかげで、読書の新しい醍醐味を味わうことができたように思う。