地球の途方もない威力を実感するには、俯瞰することと近寄って観察することの両方をあわせて、正確なスケール感を持つことが必要だと思います。

スケールを変えて見てみる

長野オリンピックの会場となった白馬ジャンプ競技場を訪れたことがあります。近くで見ると、テレビで見ていたよりもさらに急勾配な気がしてびっくりしました。ここを直滑降で降りて飛んでいくのかと思うと、スキージャンプがとても人間業とは思えなくなったものです。

誰でも、実際と想像していた景色とのギャップを感じたことがあると思います。期待に胸膨らませて訪れた観光地が、期待はずれだったなんてこともあるでしょう。たいていの場合はスケール感の違いに起因しているのではないでしょうか。景色の一部をトリミングしてうまく切り取った写真では、実際のスケール感は伝わりにくいものです。

考えてみれば、俯瞰することも近寄って見ることも誰もがよくやっていることです。たとえば、美術館などで絵画を鑑賞するときや、日曜大工で大きな棚などを作るときは近寄ってじっくりディテールを見たり、少し距離を置いて全体のバランスや雰囲気を眺めてみたりするでしょう。

地球を見るときも同じなのです。あまりに大きいので俯瞰するのは大変ですが、観察できる一部の情報だけから全体像を知ろうとするのも無理があります。

そこで、いきなり全体を俯瞰するのではなく、鉱物や岩石なら原子レベルのスケールから、プレート運動やマントル対流など地球サイズまで、いろいろなスケールで見ていく必要があるのです。ミクロサイズからマクロサイズまで、地球をスーパーズームで観察していくのが地球科学なのです。


2回目となる今回は、「上からの視点(俯瞰)と間近からの視点」というテーマで、地球科学の面白さを解説していただきました。最終回となる第3回目はさらに違った観点から、解説していただきます。

なお、名古屋市科学館では、西本さんが企画された特別展を開催中です。文中でも数点写真でご紹介しましたが、実物はより迫力があります。近隣在住の方、またGWの帰省や旅行で名古屋に行かれる方は、是非足を運んでみてください。

名古屋市科学館 特別展「恐竜・化石研究所」開催中!

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(画像は、特別展「恐竜・化石研究所」公式サイトよりキャプチャ)

開催期間:2016/3/19(土)~2016/6/12(日)
開館時間:午前9:30~午後5:00(入場は午後4:30まで)
休館日:毎週月曜日(ただし3/21,5/2は開館)、3/22(火)、4/15(金)、5/10(火)、5/20(金)

※その他、会場までのアクセス、入場料等につきましては下記公式サイトをご参照ください。
名古屋市科学館「恐竜・化石研究所」特設ページ