「トップタレント」になるには、これらの心理をコントロールする必要があります。難しく感じるかもしれませんが、先に述べた「視点の切り替え」ができれば、それぞれを裏返すように、意外に簡単に転換できるのです。下の図を見てください。
視点を「自分中心」から「他者×自分」へ変えるためには、3つの心理を「引き立て役志向」「目的志向」「ファクト志向」に転換すればよいのです。
ここでは、「引き立て役志向」への変化の例を紹介しましょう。
「承認欲求」を他人に向けて「引き立て役」にまわろう
金田氏曰く「承認欲求が強い人は相手の承認欲求を満たす能力が高いのです」。つまり、強い承認欲求がある人は、他人が同じように持つ欲求のことも良くわかるはずだ、と言うのです。
金田氏の知人で経営者のAさんは人一倍自己主張が強く、ノリだしたら自慢話がずっと止まらないような人。
ある日の酒席でも自慢話が始まりましたが、金田氏は、Aさんがうれしそうに話すので「すごいね」「それはどうやってできたの?」「なぜうまくいったの?」と相槌や質問を交えながら聞いていました。
するとその後、Aさんは同席した別の人に金田氏のことを、知人であることを自慢するように紹介しはじめたそうです。その言葉はなんとも適切で、金田氏の気分も良くなっていくようなものだったとか。承認欲求が強いAさんは、金田氏という他人の承認欲求をどうすれば満たすことができるのかも、わかっていたのでしょう。
Aさんは、強い承認欲求を他人の金田氏に向けたのです。この視点の転換によって「引き立て役」にまわり、Aさんの好感度は上がりました。
社内では次のような「引き立て役」にまわれば、手柄を独り占めすることなく、「みんなの成果」にすることができ、周囲と信頼関係を築くことにつながります。
例えば社内の打ち合わせにおいて、「この企画俺が考えてきたんだ」と発言して相手の反感を買うのではなく、この企画はTさんのひらめき力、Sさんの情報収集力、Yさんの資料作成力がそろって実現できたんです」と相手の役回りを意識したことを言えるようになります。その内容が具体的であるほど、周囲はあなたに好感を持つでしょう。(51ページより)
『超一流の処世術』では、こうした心理をコントロールするための行動法をさらに具体的に解説しています。また、「最初から謙虚であろうとするな」「成果は自分から言わない」「酔っても他人の悪口を言わない」「引き立て役に回れば結果を最大化できる」「保守的な上司とはつかずはなれずの関係をつくる」など、金田氏の実際の経験が活かされた「処世術」を、多数学ぶことができます。
この本は、「成果をあげているのになぜ評価されないんだ」と不満を持つ読者の、いままでの視点を変えるきっかけになるかもしれません。