メディアの立場で考えてみることが大切(photo by すしぱく/PAKUTASO)

 Point3. ネタがなければつくればいい!


ニュースや記事の材料として使ってくれることを期待して情報を発信する手段としてプレスリリースがあり、サイバーエージェントでは、年間100本以上のリリースを出しているそうです。

「なんでそんなにプレスリリースを出すネタがあるの? うちにはそんなにネタがないんだけど」と思われる広報担当者が一般的でしょう。
もちろん、プレスリリースは多ければいいというものではなく、メディアにとってニュース性のないものを乱発すれば逆効果となります。しかし、あまりに少ないと、そもそもメディアの目にもとまりませんし、ニュース性のまったくない会社なのかと思われてしまいます。

では、そのようなときにはどうするか?
「ネタがないのであれば、つくってしまえばいい!」それが上村さんの意見です。実際にサイバーエージェントの中でも、成熟したサービスの広報をするときに、なかなかプレスリリースを出すネタがない場合は、広報で企画してネタをつくるそうです。

たとえばブログサービス。ブログというものが世の中に認知され浸透した後、さらに話題を生み出すためにしかけたのが「ブログ流行語」です。年間を通して「Ameba」に投稿されたブログ記事に書かれたキーワードを分析し、それを記事投稿数からランキング化したものです。

年末に差し掛かった11月末、1年の総まとめ的な特集や企画が出始めるタイミングを狙ってプレスリリースを出したことで、ブログならではの結果が面白いと、複数のテレビ番組に取り上げられました。メディアが取り上げたくなる内容であることはもちろん、リリースを出すタイミングもポイントとでした。

すでにある情報をそのまま出すのではなく、メディアに取り上げられそうなネタをつくる。そんな「広報のしかけ」が他社との差別化を生み出すのです。

Point4. もちろん Webメディアでの露出も重要


新聞・雑誌・テレビ・ラジオといったマスメディアに加えて、Webメディアの伸びは目を見張るものがあります。ビジネス系、ファッション系、ガジェット系、ゲーム系など、あらゆるジャンルの媒体があり、これらのWebメディアは、自社で記者を抱え、取材・編集をして記事を配信しています。

ソーシャルメディアの浸透とキュレーションサイトの登場、スマートフォンの普及によって、面白い記事や話題のニュースは一気に拡散します。自社から発信した情報がWebメディアに記事が掲載されれば、キュレーションサイトなどを通じてより多くの人たちに記事をみてもらえる可能性があります。

また、Webメディアに記事が載ることで、インターネット上にアーカイブ化され、検索結果から露出へとつながります。前述の広報ブログと同じように、インターネット上での広報活動は、単に記事が見られる・拡散するというだけではなく、将来的な露出の種まきなのです。



以上、サイバーエージェントの広報術4つのポイントでした。

会社の顔となる広報とは、「時流」と「社流」を見極めた戦略、将来的な露出への種まきを意識した地道な広報活動が重要となることがわかりました。あらためて「広報」とは? という問いの答えにもなる大切なポイントだったのではないでしょうか。