■ドラッカーの「体系的な廃棄」3つのプロセス
①今、あるものを「ない」と仮定します
②そして、今からでもそのものを手に入れられるかどうかを考えます
③仮に「手に入れなくてもいい」と判断したら、そのモノは即刻廃棄します
このドラッカーの考え方は、経営組織や営業手法、あるいはサービスや商品等について、ムダな贅肉を削ぎ落として環境に順応するための方法ですが、理央氏は、デスク上のムダなモノもこのプロセスにのっとって「廃棄」することをすすめています。「整理」するのではなく。
自分なりの「捨てる」ルールや基準を決めて、定期的に「体系的な廃棄」を行いましょう。
(以上、40~45ページ)
仕事を「やりっぱなし」にするのをやめる
「仕事が速い人」は振り返りの時間をとっています。PDCAサイクルでいえば、C=Check(検証)、A=Action(改善)に当たります。
私たちは忙しいことを理由に、つい、この振り返りを怠ってしまいます。その結果、次の仕事のスピードと成果に、「仕事が速い人」と大きな差がついてしまうのです。どうすれば無理なく振り返りを実行できるのでしょうか。
「仕事にかかった時間やスケジュールを、毎日振り返る必要はないと私は考えています」と理央氏。年間や月間といった大きな単位から、徐々に小さな単位に分けていく方法をすすめています。
まず、年末や年度末に、年間プランの適切さや売上目標の達成度合いについて振り返ることから始めましょう。その次に、毎月下旬には月間のスケジュールや目標が適正だったかどうかを確認します。スケジュールに無理があったり滞ったことがあれば、その原因を探り、次月のプランを決めるときに改善します。
たとえば、月間の残業時間はいい指標になります。働き過ぎた時間をロスタイムと考え、そのロスの原因を考えるのです。資料の修正のための残業が多かったとしたら、次月は、修正が出ないように確認を徹底しながら作成する、といった具合です。そしてできれば、土曜日にはその週の振り返りと次週の準備をします。
こうした振り返りを繰り返していけば、自分の思い通りに物事を進めたり、成功したことを再現する力がついてくるでしょう。
また理央氏は、プロ野球の名監督・野村克也氏の「勝ちに不思議な勝ちあり 負けに不思議な負けなし」という言葉を紹介していますが、これについて「『不思議な勝ち』ほどしっかり分析をしなくてはならないと言っているのだと私は理解しています」と述べています。
うまくいったからといって「よかったよかった!」と満足していては次につながらない。その要因を分析してうまくいった理由がわかれば、よりよい次の打ち手がわかり、さらなる成功につながる、ということでしょう。
負けも勝ちも分析して、次回に活かしましょう。
(以上、76~79ページ)
理央氏が10社におよぶビジネスパーソンとしての経験のなかで学んだことは、仕事には、こなすことが目的の「作業」と、価値を生み出すことが目的の「価業」の2つがあるということだそうです。
もうひとつ、理央氏の言葉を紹介しましょう。
仕事の遅い人は、「作業」に追われ、仕事をしたつもりになっていることが多いと言えます。一方、仕事の速い人は、「作業」をどんどん効率化して時間を短縮し、そのぶん、成果につながる「価業」を充実させる時間の使い方をしているのです。
(「はじめに」より)
有限な時間のなかで、価値を生む仕事=「価業」の充実こそ目指すべきこと。本書にはそのためのヒントが詰まっています。