また、雑損控除額が多すぎて前年の所得から控除しきれない場合は、翌年以降3年間にわたって控除しきれなかった金額を順次控除することが可能です。その際、B様式の申告書に第四表を添付して申告する必要があります。

雑損控除の明細書について

先にも述べたように、雑損控除の適用を受けるときは確定申告書に「罹災証明書などの災害や盗難にあったことの証明書」「損失額の明細書」「災害等関連支出の領収書」を添付しなければなりません。領収書や各種証明書はもらえるのでいいのですが、損失額の明細書だけは自分で作る必要があります。

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損失額の明細書の例(『平成28年申告用 あなたの確定申告』p.155より)

明細書には次の要素を書きだします。

  • 損害の原因
  • 損害を受けた年月日
  • 損害を受けた資産の明細
  • 損害金額/保険による補てん額/災害関連支出費用など

このなかで一番難しいのは損害金額で、損失発生時の時価がいくらだったのかを算出しなければならないためです。

たとえば火災の場合、火災保険に入っていれば火災保険金が支払われるときに、保険会社が損害額をいくらと見積もっているかでだいたいの金額を知ることができます(一般的には、支払われた火災保険金額と損失額は同じくらいと考えられます)。また、家財についても申告者の年齢や家族構成、収入などから平均的な金額を算出する資料を保険会社側でもっているようです。

また、損失が生じた日にその減価資産を譲渡したものとみなして計算した取得費相当額を基礎とし、いわゆる簿価ベースで計算することも認められます。

しかし、損失額の明細書に記載する金額はおおまかなものではいけないので、家財を一つひとつ書き出して作成する必要があります。

雑損控除の申告書記入例

以上を踏まえて申告書に記入すると、以下のようになります。

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雑損控除の確定申告用紙記入例(『平成28年申告用 あなたの確定申告』p.155より)

雑損控除を受ける際の確定申告の注意点は以上になります。次回(vol.2)は、「医療費控除を受けるとき」の申告についてです(2/12ごろ掲載予定)。