先日の源泉徴収票の読み方を解説した記事にも書いてあるように、基本的にサラリーマンは確定申告をする必要がありません。そのため、いざ確定申告をしなければならない(orした方がトクするので申告したい)とき、申告用紙を前に「どうすればいいんだろう?」と迷う人も多いことでしょう。

なかでも、「出産、あるいは病気などで入院したり手術を受けたりして多額の医療費がかかった」「台風や大雨など、自然災害で被害を受けた」など、本当に突発的な理由で申告をする必要に迫られたときほど困るものです。

そこで「損害により雑損控除を受けるとき」「医療費控除を受けるとき」、それに加えて話題のふるさと納税など「寄付によって申告するとき」の3つのケースにおける書き方を、『平成28年申告用 あなたの確定申告』をもとに連載形式で見ていくことにします。

今回は「雑損控除を受けるとき」の書き方について解説します。

※本記事中の図や書式、控除額等は、平成27年12月時点のものです。

雑損控除による還付目的の申告

対象者・対象理由

雑損控除は自然災害やシロアリ被害、強盗に入られたなど、「本人に過失責任がない」とされる理由によって住宅や家財に被害を受けた人が受けられるもので、これを申告することで税金の減免や還付をうけることができます。「本人に過失責任がない」とされる理由としては、以下のものが挙げられます。

  1. 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
  2. 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
  3. 害虫などの生物による異常な災害
  4. 盗難
  5. 横領
※詐欺や恐喝は、被害を受けた本人の意思が多少とも入っているため、雑損控除の対象外。

また、対象は「日常生活に必要な住宅・家財」に限られ、別荘や1個(または1組)が30万円を超える宝石・貴金属類や書画骨董など「別になくても日常生活に支障をきたさない財産」の被害は控除の対象になりません(ただし、対象外のものであっても、他に何らかの財産を譲渡して得た財産の場合、その「譲渡所得金額」から差し引くことはできます)。

加えて、配偶者や子どもなど家族名義の財産も控除対象となります。ただし、家族の所得が38万円以下(パートの場合だと年収103万円以下)の場合に限られ、それ以上の所得がある家族の損失についてはまとめて雑損控除をすることはできません。