“あなたが逝ったあとの「愛する人」の人生を守るためには、財産の有無にかかわらず「遺言書」を作成しましょう”
「お金がないから相続で揉めることはない、と考えるのは無知の極み」と臼井さん。生命保険、死亡退職金、最終の給与、祖父から受け継いだ田舎の土地など、多額の財産はなくても、争続のタネはいくらでもあるのです。
夫の死に落胆している妻に、親族がかまわず脅し文句をかけてくる。
四十九日を過ぎたころ、まったくつきあいのなかった異母兄弟が突然あらわれて相続権を主張する。
こうした例は、臼井さんの周囲に実際にあったことだそうです。
残される人の生活を守るのは、逝く人の務めです。そのためには、遺言書をつくっておくことがもっとも効果的なのです。
“遺言書を作るどころか、考えることもしないで平気な顔で生活するのは、「愛する資格がない」と私は考えます。”
(以上、同書96~99ページより)
“毎月1日は、「エンディング会議」を開催する日”
臼井さんは定期的に「エンディング会議」を開くことを勧めています。
“エンディング会議の中心議題は、「誰に何を遺すか?」です。
・「自分が死んだら、家族はどのように暮らしていくか?」
・「誰にどの財産をあげれば納得するのか?」
この2点を考慮しながら、配偶者のある人はお2人で。年齢に関係なく、ときにはお子さんも交えて、自分思いを伝え、話し合うといいでしょう。”
会議、というと少し身構えてしまうかもしれませんが、そんな堅苦しいものにはせずに、気軽に、雑談のつもりで話し合う。そんな会議です。
「もしも」のことがあったとき、配偶者や家族が困らないように、葬儀やお墓の希望や訃報を知らせたい人たちの連絡先、そして財産、相続、その後の生活のことなどを伝えあい、話し合う。そしてその内容をエンディングノートや遺言書に残すのです。
毎月じゃなくても、2~3ヶ月に一度でも開催しておくと、自然に「愛する人の死」に向き合う気持ちができるでしょう。時々で考えが変われば、書き直せばいい。また、自分の人生を見つめ直すことにもつながります。
エンディング会議で話し合ったことは、明るい未来を築くための礎になります。
(以上、同書126~129ページより)
最後に、同書「エピローグ」より、臼井さんのメッセージを届けます。
「未来はあなたの手に委ねられている」
といわれますが、死も“未来”です。
それをどうするかということも、その手に委ねられています。
死は確かに一つのエピローグではあるけれど、それから先、愛する人を守るのも、残された人を守るのも、あなたの手に委ねられているのです。