それに対して、「スマートセレクター」(同書では賢い選択ができる人をこう呼びます)は、違いを見逃しません。むしろ、常に、「万物にはユニークな差がある」ことを前提として選択するのです。

ユニークとは、唯一の、独特の、他に類を見ないという意味です。どんなに似た状況でも、それに関わる人が違い、目的が違い、価値観が違い、場所が違い、時が違えば「似て非なる問題」としてとらえます。(同書21ページ)

そして、その問題にとって最適な解決策は何かを考え抜いて選ぶ。これが「セルフメイド選択」です。そこにしかないユニークさを活かして、最大限の効果をあげることを目指します。

主役は誰だ?

それでは、そのユニークさはどのように見極めたらいいのでしょうか。

セルフメイド選択をするには、まず、誰が主役か、を明確にし、どこ(物理的場所)、いつ(時間・期間)を特定する「場の設定」をします。(同書23ページ)

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『飛び抜けたアイデアを出す人がやっている ブレイクスルー思考トレーニング』ひもとあやか 著/日比野省三 著

営業マンのマキタ君の例で考えてみます。彼の課題は「営業成績アップ」でした。

まず「主役」はマキタ君であることを確認しましょう。先輩やカリスマ営業マンではないのです。そして「場所」は彼の勤める「(株)◯◯自動車 □□支店」です。こう設定すれば、違う場所で営業するカリスマとの差(ユニークさ)が出てきます。また「時間」は、「今後1年間」としてみます。これで、過去の先輩の営業方法や、マキタ君本人が過ごしてきた時間とは違う、ということが意識されます。

このように場を設定することで、問題のユニークさを際立たせます。そのうえで、

マキタ君の他人との違いは?
長所は?
短所は?
未来のあるべき姿は? 理想は?
それを実現するために活かせる強みは? 伸ばすべき強みは?

といったことをできるだけ多く書き出しながら、マキタ君のユニークさを活かした営業とは? 彼にしかできない営業とは? と問いかけていきます。

「賢問」習慣を身につけよう

対照的に、前述した「レディメイド選択」に陥っている場合は、このように問いかけてしまうでしょう。

普通はどうしている?
一般的には?
他社はどうしている?
前例、成功例は?

これでは過去の延長線上のアイデアしか出てこず、選択の幅がせまくなってしまいます。