イスに座るときは、上半身は立っているときと同じです。背もたれに頼ると背中が丸まってしまうので、イスには浅く腰掛けて、膝が開かないように足をそろえます。このとき、女性はぴったりと膝を閉じますが、男性は握りこぶし1つ分、空けるようにするとよいでしょう。そして、下半身は自分の腿が短く見えるように、しっかりと腰を入れて座ります。

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イスに座るときの姿勢と視線(『小笠原流 美しい大人のふるまい』p.73より)

 

「余裕のある動作」が美しいふるまいを作る

最後に動作全体について。たとえばお茶を飲むとき、不注意でこぼしてしまう恐れがあるのはどういったタイミングだと思いますか?

答えは「取ろうとする瞬間と置く瞬間」。動作の最初と最後が粗相をしてしまう可能性の高いタイミングです。電車で例えると、発射するときと停車するときにガタンと揺れることがありますが、走行中は比較的スムーズなのと同じです。

こうした動作の最初と最後は勢いをつけてしまいがちなので、そのときあえてゆっくりと動くような意識をもてば、粗相することも減り、余裕のある落ち着いたふるまいに見えます。


以上は小笠原流礼法の教えの一部にすぎませんが、いずれも決して難しいものではありません。しかし、簡単に見えて、実際にやってみるとそう簡単でないものもあるはずです。春から社会人になる方や初めて部下をもつ方など、あらためて自分のふるまいを見つめ直してみたいと感じている方も少なくないはずです。

『小笠原流 美しい大人のふるまい』を参考に、周囲から一目置かれる落ち着いたふるまいを身につけてください。