【参加者の改善案(以下、参加者)】
急な雨になったらコンビニに入って、雨宿りをするか傘を買う。
はい、正解です。
「述語の共用」にご用心!
原文では「雨宿りを買う」になってしまいます。明らかにおかしいですね。先ほど「2つの文の基本形」と申し上げましたが、実は、「主語と述語」よりも、「目的語と述語」の組み合わせが上手くいっていないケースが非常に多いんです。その中でも用心しなければいけないのが、「述語の共用」なんです。
たとえば、「海を眺める」。これは正しいですよね。「山を眺める」。これも正しい。したがって「海や山を眺める」も正しいことになります。つまり、「眺める」という述語は、海と山が共用する(一緒に使う)ことができるわけです。
しかし、「海や山に登る」となるとどうですか。明らかに間違いです。「山や海で泳ぐ」これもおかしい。このように目的語と述語の組み合わせが上手くいっていないケースは非常に多いんです。述語を共用するときは、特に注意が必要なんですね。
次の問題、これはどうですか。なお本日は、『文章力の基本の基本』の中にある文例は、演習問題に含めておりません。
【問題】
詳しくは店頭のポスターか、スタッフにお尋ねください。
【参加者】
詳しくは店頭のポスターをご覧になるか、スタッフにお尋ねください。
正解ですね。
これも同じです。実はこれは、新宿西口を歩いていた時にあるお店のスピーカーから流れていた言葉で、しめしめと思ってメモしました。ポスターに尋ねても答えは帰ってきませんね。この場合は「ポスターを見る(ご覧になる)」「スタッフに尋ねる」と、別な述語が必要です。
次の問題は、少なくとも改善案が2つあると思いますが、いかがですか。
【問題】
これから先、お互いに就職や家庭を持ったりして、あまり会えなくなると思います。
【参加者】
これから先、お互いに就職したり家庭を持ったりして、あまり会えなくなると思います。
その通りです。「就職を持ったり」はおかしいですね。「就職をしたり」です。
もうひとつ、ある述語を共用する案を思いつきませんか。
これから先、お互いに就職や結婚をしたりして、あまり会えなくなると思います。
このように「家庭を持ったり」を「結婚したり」に言い換えれば、「する」という述語を共用できます。
「主語と述語」を正しく組み合わせる
次は「主語と述語」の組み合わせの問題です。
【問題】
本来マスコミは正確な情報を伝える役割である。
これも改善案は少なくとも2つあります。
【参加者】
本来、マスコミの役割は正確な情報を伝えることにある。
いいですね。いろいろな言い方がありますが、次のような表現もいいと思います。
本来マスコミは、正確な情報を伝える役割を担っている。
「マスコミは役割を担っている」あるいは「役割は◯◯することにある」とすると、主語と述語の組み合わせがしっかりしますので、もちろん意味が分かりやすいし、読んでいて気持ちがいいですね。「マスコミは役割だ」では組み合わせがずれていて、何となく落ち着きません。
「主語と述語」「目的語と述語」を正しく組み合わせること。まずはここから、ご自分の文章を見直してみてください。