2015年12月8日に、ブックファースト新宿店において、「『文章力の基本の基本』ワークショップ」が開催されました。これは同書店と、書籍のダイジェスト提供サービスを展開する株式会社情報工場のコラボイベント、「新宿の文化活性・創造のための『リアル書店発信プロジェクト』」の一環として行われたものです。
講師は、文章術に関するベストセラー(累計ではなんと30万部以上!)の著者であり、多くのビジネスパーソンや学生を指導する阿部紘久先生です。ワークショップでは、阿部先生の著書『文章力の基本の基本』(日本実業出版社刊)をもとに、参加者が文章の改善問題に挑戦しました。終了後、参加者のみなさんは、「メールを書くのが苦手な理由が分かった」「もっと文章をたくさん書いてみたくなった」など、文章力を上げるためのたくさんのヒントを得ていたようでした。
ここでは、そのワークショップの一部を公開します。



阿部紘久先生:みなさん、本日はお集まりいただきありがとうございます。

この『文章力の基本の基本』は、タイトルから「初歩の初歩」のような印象を受けるかもしれませんが、実は私が書いた『文章力の基本』『文章力の決め手』を含む3部作の違いは、内容がコンパクトか広範囲に及ぶかということであって、いずれも初級から上級までのすべてのレベルの読者を対象としています。

「基本の基本」を押さえれば、楽に書けるようになる

阿部紘久先生
『文章力の基本』3部作など、10冊の著書を持つ阿部紘久先生

文章指導の経験を振り返りますと、高校生、大学生から40代、50代の社会人まで、文章に苦手意識を持っている人は、皆同じような基本的なところで躓いています。

ですから私は、基本的な原理原則を身につけると、誰でも楽に文章が書けるようになると思っています。この本のソデに、「この33の“基本の基本”を押さえれば、明日から、とても楽に文章が書けるようになります」と書いたのは、そういう意味です。また、「書くのが好きな人はもっと好きになれます」とも書きましたが、これは、中級・上級の方の役にも立つ本でもある、という趣旨です。

この本は6つの章からなっていて、第1章のテーマは「文の基本形を作る」です。文の基本形というのは2つあって、1つは「何がどうした」、つまり主語と述語です。もうひとつは「何をどうした」、あるいは「何にどうした」で、これは目的語と述語です。この2つの組み合わせがきちんと書けると、文章が非常に分かりやすくなります。

当たり前のことのようですが、実はここで躓いている方がけっこういらっしゃるので、今日のワークショップもここから入りたいと思います。その後も、この本の章立てに沿って進めていきましょう。

それでは早速問題に入ります。
(文中、特に断りのないものは阿部先生の解説、コメントです)

問題】
 急な雨になったらコンビニに入って、雨宿りか傘を買う。

どなたか、どこをどう直せば適切な文章になるか、おっしゃっていただけますか。