初年度の業務フローについては、下図を参照してください。
【高ストレス者には面接指導を実施する】
高ストレス者と判定されて申出があった者には医師の面接指導を実施します。
【「就業上の措置」を行う】
面接した医師から意見を聴取し、必要に応じて就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、休職等の就業上の措置を行います。
【労働基準監督署に報告する】
ストレスチェック制度を実施したら最終的には、労働基準監督署に「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書」を提出します。この報告書の様式は、厚生労働省からOCRで読み取り可能なものが平成28年3月下旬に公表される予定ですので、これを使って平成28年4月1日以降に所轄の労働基準監督署に提出してください。
高ストレスの原因を確認して適切に対応することが大切
面接指導を行った医師から、対象者の安全や健康を確保するために必要な情報は事業者に提供されますが、事業者への意見提出には労働者の意向に十分な配慮が必要とされていることから、情報が十分に伝わるかどうかは不明瞭と考えられます。
仮にメンタル不調の原因が過重労働やハラスメントだったにもかかわらず、事業者が何も考慮せず、そのまま私傷病として取り扱うと、
・別のメンタルヘルス不調者が生じるリスク
・職場復帰後に再発するリスク
が生じるおそれがあります。
使用者には、労働者が生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう配慮する義務(「安全配慮義務」といいます)があり、これに違反すると多額の損害賠償責任を追及されるリスクもあります。
こうしたことから、ストレスチェックにより、高ストレス社員を把握したら、原因をきちんと確認し、適切な対策を講じることが大切になります。
『ストレスチェック制度 導入と実施後の実務がわかる本』(社会保険労務士 、厚生労働省委託事業 ストレスチェック制度解説セミナー講師 坂本直紀 著)は、導入の計画段階から、実施後に行われることがある面接指導、就業上の措置などまでをコンパクトに解説しています。特に実務対策を重視して、規程例や書式例を豊富に掲載しました。
また、ストレス対処法やセルフケアの方法、高ストレス社員を出さないための工夫、ストレスチェック制度実施後の結果の活かし方についても取り上げているので、メンタルヘルスの向上に役立つはずです。