- 日経平均株価のような「平均型」の指数は、影響力の大きいごく一部の銘柄の値動きに左右されやすい
- 過去に大規模な銘柄入れ替えが行なわれた際、指数としての連続性に疑問がもたれた
1つめの理由の「一部の銘柄」としてよく名前が挙がるのがユニクロとして知られる「ファースト・リテイリング」(銘柄コード:9983.T)です。その影響はあまりにも大きく、過去には世界的な経済メディアとして知られるbloombergで「ユニクロ高騰にゆがむ日経平均、投機温床-指数正当性に疑問」という記事が掲載されたほどです。
先にも述べたように、日経平均株価の値は採用銘柄の株価によって左右されます。そのため、指数に採用されている株価が高い銘柄は、それだけ日経平均株価に対する影響力も大きくなります。
しかし、もし、株価は高いけれども、発行済み株式数が少ない銘柄が採用されていたらどうなるでしょうか。
発行済み株式数の少ない銘柄は、多少のまとまった取引によって株価が大きく動く可能性がありますから、その銘柄の値動きだけによって、日経平均株価も乱高下しかねません。
そこで生まれたのが、「株価×発行済み株式数」で算出される時価総額を指数とする考え方です。
この方法であれば、たとえば「株価5万円×1億株発行済み」の企業Aと「株価1000円×100億株発行済み」の企業Bを比べた場合、時価総額はそれぞれ5兆円と10兆円になり「企業Bの方が市場全体に対するウェイトが高い」と判断することができます。
こうした考えに基づき、東証1部に上場している全銘柄の時価総額をベースとし、各種要素を用いて算出されたもう一つの株価指数がTOPIX(トピックス、東証株価指数)と呼ばれるものです。
実際には、どっちが多用されているの?
では、ここまでに解説してきた二つの指数のうち、実際はどちらが多用されているのでしょうか?
指数として市場全体の動向を推し量る場合、より正確性が高いのはTOPIXです。これは225銘柄を抜き出して算出している日経平均株価と違い、全銘柄を算出対象としている点からして明らかです。
しかし、実際に取引対象として多用されているのは日経平均株価です。これは市場で取引されている「先物」の取引金額や、「インデックス型投資信託」と呼ばれる株価指数に連動して運用され、金融機関の窓口で購入できる金融商品の純資産額をみても明らかです。
この傾向は、市場に上場され個別銘柄のように売買できる「ETF(上場投資信託)」でも顕著です。