2018年は米国債利回りの上昇や米中対立などにより、世界経済のボラティリティが高かった年でした。そのためか、年末には日経平均が約1年3か月ぶりに20000円台を割り込むなど、景気減速に対する警戒感も広まっています。
さて、この“日経平均(日経平均株価)”という言葉。字面から「株価の平均なんだろう」という察しはつきますが、株式投資を実際に行なっていなければ「その意味を正確に説明できない、理解していない」という人もいることでしょう。同様によく聞く「TOPIX」についても、その意味や「日経平均との違い」を正確に説明する自信がない人が多いかもしれません。
そこで「日経平均」や「TOPIX」とは一体何を意味し、どのような違いがあるのか。このたび刊行された『日経平均の読み方・使い方・儲け方』(阿部智沙子 著)をもとに、投資をしたことがない人やこれから始めてみようと思う人向けの基礎知識として解説しましょう。
まずは「株と株式市場、株価指数」の基本
辞書的な定義はともかく、「株式とは何なのか」を簡単に説明すると
「株式」とは個々の会社が資金を調達するために発行しているものであり、「株式市場」はその発行の場であると同時に、投資家がそれを取引する場である
と言えます。
そして、個々の株には「価格」がついています。たとえば、2015年11月には「郵政グループ3社が新規上場。日本郵政の初値は1631円」というニュースが大きな話題となりました。
株式市場に上場している各社の株は、買い手と売り手の需給バランスによって価格が決定します。一般的には業績がいい会社の株は買い手が集まるため値段が上がり、業績の低迷や不祥事の発覚などで投資リスクが高まった会社の株は値段が下がっていきます。
これらのことから、株式は投資の対象であると同時に、会社の調子をみるバロメータでもあるということができます。
しかし、個々の株価だけを見ていては株式市場全体、ひいては日本経済の動向が上り調子なのか下り坂なのかがわかりません。そこで、上場している銘柄の株価の平均を見ることで、全体の動向を計ろうとする考え方が生まれました。こうした株価の平均値を株価指数といい、国内のものでは日経平均(日経平均株価)やTOPIX(トピックス、東証株価指数)、国外であればNYダウなどさまざまな株価指数が存在します。
日経平均は何の平均?
冒頭のニュースのように株価指数のなかで最も身近な「日経平均株価」は、「東証一部」と呼ばれている株式市場に上場している銘柄のうち、日本経済新聞社が選定した225銘柄を対象に算出されたものです。
東証一部には約2100銘柄が上場(2018/12/25現在)していますが、それらすべての平均を取ったものではありません。「全銘柄から約9分の1だけを抜き出して算出された平均値」ということになるのですが、はたして市場全体の動向が測れるのでしょうか?
実は、それでも市場全体を表す指数として十分機能するのです。次ページの図を見てください。