つまり、4000万円で購入したマンションを、何らかの理由でやむを得ずすぐに売りに出した場合、一般的には3200万円程度でしか売れないのです。なぜでしょうか。


実は、新築マンションンには不動産の価格に反映される「土地」と「建物」代金以外に、様々な費用が上乗せされているからです。
(同書26ページ)

費用というのは、たとえばモデルルームの建設にかかる費用(数千万円! マンション一戸分です)やパンフレットやチラシの製作費、不動産会社の利益などです。

「資産価値」として考えた場合、新築物件には最初から、中古物件には無いリスクがあるといえます。

中古マンションを買うときはここに注意!

迷った末に中古マンションの購入を決めました。どんな点に注意すればよいのでしょうか。

1. ホームインスペクションを実施する

一番気をつけたいのは、やはり欠陥住宅を購入しないことです。

新築マンションでは、マンションが引き渡されてから建物に欠陥(瑕疵)があることが分かった場合、売り主の不動産会社・ディベロッパーに対して無料で修理することが義務付けられています。これを「瑕疵担保責任」といい、10年は保証されます。

ところが中古マンションの場合、売り主が不動産会社の場合は同様の保証が2年間つきますが、売り主が個人の場合はこの保証がありません(契約書の中で別途保証期間を決めることもできますが、期間は最長6か月と定められています)。

そこで、対策として実施しておきたいのが「ホームインスペクション(住宅診断)」です。

これは専門の会社が第三者の視点から、マンションの構造や耐震レベル、雨漏りなどの欠陥、修復の必要がある点などを非常に細かくチェックするものです。

一般的には5~6万円の費用、2~3時間程度で実施してくれます。もっとも内容は会社によって違いがあるので、ウェブなどで自宅に近い会社をさがし、依頼するときはどんな内容で、どんな基準で実施してくれるのか確認するとよいでしょう。

また、売り主が個人でも最長で5年の保証をつけることができる「瑕疵保険」を利用することもできます。購入しようとしている住宅が専門機関の検査に合格することが条件で、検査料、保険料を合わせて15万円前後かかりますが、安心のためにはぜひ利用したい制度です(詳細は住宅瑕疵担保責任保険協会ウェブサイトを参照)。

2. 新耐震基準を満たしているか?

「築何年までのマンションであれば安全か」というのは気になるところです。マンションによって造り方も違うため一概には言えないのですが、一つの目安となるのが昭和56年(1981年)6月1日以降に適用された「新耐震基準」を満たしているかどうかです。2015年現在では築34年以内ということになります。

この新耐震基準は1978年に起こった「宮城県沖地震(震度5)」を踏まえて制定されたもので、震度7程度の地震でも壊れない基準とされています。実際、1985年の阪神淡路大震災や2011年の東日本大震災においても新耐震基準に適合した建物の倒壊例は報告されていません。

また、この新耐震基準に適合しているかどうかは、代表的な住宅ローンである「フラット35」の利用条件にも含まれていますので、利用を希望する場合はチェックしておいたほうがよいでしょう。