2015年10月19日、八重洲ブックセンター本店(東京都中央区)にて、藤原和博氏の『本を読む人だけが手にするもの』刊行記念トークライブが催されました。
ここではそのトークライブの一部、本の内容に関する話題を中心にお届けします。
◯おもなテーマ
・読書家じゃなかったからこそわかる「読書の効能」
・成熟社会に必要な「情報編集力」は読書で身につく
・読書とは著者の「脳のかけら」を自分の脳につなげること
司会:本日はお忙しいなか、藤原和博さんの『本を読む人だけが手にするもの』刊行記念イベントにお越し下さり、まことにありがとうございます。司会を努めますのは、この本の編集を担当した日本実業出版社編集部の川上です。
実はこの本、発売後2週間で2度の増刷をしました。これも読者の皆様のおかげです。ありがとうございます。
本日は藤原さんご自身に、本書の内容を中心にお話しいただこうと思います。それでは藤原さんよろしくお願いします。
『本を読む人だけが手にするもの』
藤原和博氏:はい、みなさん、よろしくお願いします。
さて、まずこの本について解説しておきましょうか。ちょっとアンケートを取ります。この本をもう読んじゃったという方、手を挙げてください。
(聴衆約70人のうち、)10人くらいですね。
この本、アマゾンでは「読書法」のランキングで発売以来1位、総合ランキングでも100位以内に入っています(注:10月19日現在)。この八重洲ブックセンターでも、先ほどうかがいましたら、発売からコンスタントに売れているというので、本当にありがたいし、珍しいことだと思うんですね。
決してこの本はタレントが書いたわけでもないし、また地味じゃないですか、表紙が(会場笑)。
僕は実は、デビューから10冊くらいまでは、装丁に全部自分の好みの画家の方にお願いしていました。たとえば、「ヒロヤマガタさんの絵画をどうしても使ってほしい」とか言ってたんですけど、それが大して効果がないことがわかりまして(笑)、今回はすべて編集者のセンスにまかせてみました。
それで制作の過程でいろいろやり取りしているときに、この表紙デザインをメールで見せてもらったりしてたんだけど、すごく地味なんで「大丈夫かな?」と思っていましたが、逆にそれがよかったのかもしれませんね。
課題図書がつまらなくて読書嫌いに
この本を書いたきっかけ、特徴をお話ししたいと思います。
僕は今回、「本をもっと読みましょう」ということを書いているんですけど、実は僕自身は、基本的に読書家ではなかったんです。とくに10代20代のときなんて、ほとんど本を読まない子どもだったんです。