前編では「相続の核となる不動産の取り扱いが、税理士の手に余る理由」と「巷で言われる相続対策の人気手法は本当に正しいのか?」ということで、「アパ・マン経営」と「タワーマンション(タワマン)購入」について述べてきました。

後編では、前篇にひきつづき不動産コンサルタントの浦田健氏による「“親の家”を相続するための、プロのノウハウ」について解説します。

前編「不動産のプロが「税理士は相続税の素人」と断言する理由」はこちら

争続のタネになりやすい「親の家」

2015年1月に施行された「改正相続税・贈与税」によって、グッと身近な問題となった相続問題。前編では相続税対策の2大トレンドである「アパ・マン経営」と「タワマン購入」に関して解説しました。しかし、どちらもそれなりに大きな額を相続したときにとる手段であり、一般家庭で発生する相続の大半は「親から引き継いだ土地・家屋」に関するものでしょう。

実際、裁判所に持ち込まれる遺産分割調停の件数をみても、1000万円以下のケースが約30%、5000万円以下まで広げるとその割合は約75%にも達し、その大半が土地・建物の相続となっています(司法統計「平成25年度 遺産分割事件のうち認容・調停成立件数(「分割をしない」を除く)  遺産の内容別遺産の価額別」より、PDF)。

そこで、今回はもっとも身近な相続である「相続で親の家をどうするか」についてみていきましょう。

親の家の分割方法

まず、「親の家をどう分けるか」です。代表的な方法としては「現物分割」「換価分割」「代償分割」の3つがあり、それぞれ以下のようになります。

『不動産のプロが教える究極の相続対策』 p.229より
『不動産のプロが教える究極の相続対策』 p.229より