日実:その他に園を特徴づけるようなエピソードはありますか?

神成: そうですね……。入園したての子はたいてい「ここはなんなんだろう?」といった感じで見ています。ですが、そのうち「あ、これおもしろいかも」と自分で遊び方を発見できるようになり、目もキラキラと輝いてくるようになりますね。

他の保育園や幼稚園では、子どもが何かを夢中でやっていても先生が「他のことをやりなさい」って中断させちゃうんですけど、モンテッソーリ流のやり方は「良かったね、やっていいよ」と続けさせてあげるのでそこが違うのかな、と。

今でもたまに園に顔を出してくれる卒園生で、中学生のころから留学したいと言い続けてた高校2年生の子がいるのですが、その子は自分で「どうやってやったら留学できるんだろう」と調べて、実際にカナダに留学しました。

こじつけかもしれないんですが「モンテッソーリのおかげかしら」なんて言ったりしているんです(笑)。でも、自分の願いや意志を貫き通す力を持てるというのは、小さいころに受けた教育による影響も少なからずあるはずです。

子育て中のパパ・ママへのメッセージ

日実:ありがとうございました。最後になりますが、現在子育て中のパパ・ママへのメッセージをいただけますか?

神成:私がお伝えしたいのは「モンテッソーリ流の教育法が良いからといってそれに固執するのではなく、そこからいいとこどりをしていく」ぐらいのおおらかな気持ちで子育てをしましょう、ということです。

本には「観察→発見→見守る」の3点に気をつけて子育てすると「自分でできる子」が育つということを書きました。ですから、まずは子どもをよく見てください。子どもが何をしているのか知ってください。そして、できるだけ口出しせずに見守ってあげてください。

大人から見れば「なにやってんの」と一見無意味に見えることも、子どもにとっては大切な活動であることがわかれば、子どもに対する見かたも変わってきます。それまで無意味な行動とみなしていた行為も、それが実は意味のある行動であったと気づけば、頭ごなしに「ダメ」と言う回数も減ってくるのではないでしょうか。

無理せず肩の力を抜いて、楽しく子育てというのが一番。「こうなってほしいかな」ぐらいにとどめ、自分の理想を押しつけたり、レールを引きすぎるのはよくないのかなと思います。親ってわがままなもので、生まれたときは「無事に生まれて良かったー」って思っていても、だんだんと成長の遅さとか他の子と比べてできないことばかりに目を向けてしまったり……。

でも比べる必要はないんですよ。「うちの子は○○ができないんだ」と落ち込まないで、焦らず他の良いところを見てあげる。「○○ができるのよ、うちの子」と育てていく方が、絶対に子育ては楽しいと思うんですよね。

 モンテッソーリのコツ『知る、見守る、ときどき助ける』を知っているだけで、だいぶ違うかなと思います。ぜひ、本を買って読んでいただけると嬉しいです(笑)。知ることで「この子は、こうだからこうしてるんだー」と分析できるようになるので、それだけでもパパやママの心もちが変わります。

子育ては悩みが尽きないのものですが、楽しい子育てをするためのお役に立てれば良いなと思っています。

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神成 美輝(かんなり みき)

幼稚園教諭4年間、病児保育室2年間を経て、モンテッソーリ教育で著名な早稲田フロンティアキッズに7年間 勤務。その後、2009年12月 フロンティアキッズ河田町開設に伴い園長就任。保育士、幼稚園教諭2種。モンテッソーリ教育をさらに実践するために2012年モンテッソーリ教師の資格を取得し、園長を辞めて現場に復帰して、系列のメデュケア モンテッソーリ ナーサリースクールにて一指導者として勤務した。子どもだけでなく、親への啓発にも力を入れている。子どもは1人。モンテッソーリの現場に精通している。